Research Abstract |
体内におけるオピオイドペプチドの役割を明らかにする目的で,オピオイドペプチド前駆タンパク質mRNAを変化させる適刺激に関して研究した。アデニル酸シクラ-ゼを活性化することにより,細胞内cAMPの量を増すforsholinを投与すると,副腎,小腸,胃,心房などのプロエンケファリンAmRNA量は,有意に増加した。しかし,下垂体,脳,などでは変化は認められなかった。また,副腎,精巣,脳,胃,なででは,プロエンケファリンB mRNAの有意な増加が認められた。しかし,下垂体,心房などでは変化は認められなかった。また,プロオピオメラノコルチンmRNA量は,副腎で増加したが,脳および下垂体では変化が認められなかった。プロテインキナ-ゼCを活性化するphorbol 12ーmyristate 13ーacetateを投与すると,プロエンケアァリンAmRNA量は,副腎,小腸,脳,胃,心室などで増加し,下垂体では減少し,心房,では変わらなかった。また,プロエンケファリンBmRNA量は,副腎,胃などで増加し,心房,脳などで変わらなかった。なお,プロオピオメラノコルチンmRNA量は,脳で減少し,副腎で変わらなかった。電位依存性Ca^<2+>チャンネルを開き,細胞内のCa^<2+>を増加させるBayK8644を投与すると,プロエンケファリンAmRNA量は,副腎,胃,小腸,心房などで増加し,脳,心室,下垂体などでは変化しなかった。また,プロエンケファリンBmRNA量は,副腎,心房,下垂体,胃などで増加し,脳では変化しなかった。なお,プロオピオメラノルチンmRNA量は,脳および副腎で変化しなかった。以上の結果より,オピオイドペプチド前駆タンパク質mRNA量は,細胞内のCa^<2+>濃度およびタンパク質リン酸化酵素の活性などにより,変化することが示唆された。
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