1992 Fiscal Year Annual Research Report
ラットのホルモン分泌腫瘍におけるGTP結合タンパク質の変異
Project/Area Number |
03670118
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Research Institution | Inst. Basic Med. Sci., University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三輪 正直 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (20012750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 和彦 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (90211078)
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Keywords | Gタンパク質 / GTP結合タンパク質 / ホルモン産生腫瘍 / 卵巣腫瘍 / PCR / SSCP |
Research Abstract |
GsやGi_2などのGTP結合タンパク質(Gタンパク質)は、細胞膜の受容体と共役し、細胞外のシグナルを細胞内に伝達する役割を担っている。最近、H Bourneらは、ヒトの内分泌腫瘍でGsやGi_2のαサブユニットに変異を有するものがあることを報告しGs_αやGi_<2α>ががん原遺伝子産物であると提唱している。我々は、今回ヒト及びラットの腫瘍についてのGタンパク質の遺伝子変化について、polymerase chain reaction(PCR)-Single stranded conformation polymorphism(SSCP)法により調べた。まず、ホルモン産生腫瘍の中でヒト卵巣の性索間質腫瘍10例についてGs_αのexon5とexon6,Gi_<2α>のexon8とexon9について調べたところ、1例においてGs_αのexon6にSSCPで明らかに正常とは異なるbandを検出した。従来、H.Bourneらは性索間質腫瘍10例中3例に変異を報告しているが、これらはいづれもGi_<2α>のexon8におけるものであり、今回我々の見出したGs_αのexon6における変異は、性索間質腫瘍としては初めてのものである。また、Gs_αの変異に関しては、従来exon5の201番目のアルギニン残基の変異が、脳下垂体腫瘍で14例、exon6の227番目のグルタミン残基の変異に関しては、脳下垂体腫瘍で2例と甲状腺腫瘍で1例の報告があるのみである。現在、我々の症例についてexon6の変異の部位を塩基配列を決定しつつあり、そのデータをもとに投稿予定である。一方、ラットの実験膵がん(RPD)、ラット骨肉腫(S-OS,S-SLM,C-OS,C-SLM)、ラット4HAQD誘発悪性線維組織細胞腫(malignant fibrous histiocytoma)では、Gs_αの変異は認められなかった。
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