1991 Fiscal Year Annual Research Report
アルドステロン産生腫瘍におけるホルモン過剰産生機序の解析
Project/Area Number |
03670148
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今井 道代 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30129340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻島 正 九州大学, 理学部, 助教授 (70177153)
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Keywords | 原発性アルドステロン症 / ホルモン産生腫瘍 / アルドステロン / アンギオテンシンII / チトクロ-ムPー450 / 遺伝子クロ-ニング / 遺伝子転写制御 |
Research Abstract |
申請者らの教室では、アルドステロン産生腫瘍においてアルドステロン合成酵素が過剰に発現している事を示した。申請者は本酵素の過剰発現が、当該酵素遺伝子の転写亢進によるとの予備的結果を得ている。本研究の目的は、この遺伝子の転写亢進の原因を究明する事により、アルドスロテン産生腺腫におけるホルモン過剰産生機序を解析し、アルドステロン分泌調節の生理機構の理解に役立てる事である。ところで教室のこれまでの研究により、アルドステロン生合成の様式には動物種による差異があり、その中でラットの生合成様式はヒトの類似しており、ラットはヒトの良いモデル系になる事が解かった。そこで今年度の研究では、研究材料として入手しにくいアルドステロン産生腺腫でけでなく、ラット副腎をも用いて実験を行ない、以下の成果を得た。 1.アルドステロン合成酵素はアルドステロン産生腺腫ばかりでなく、正常ヒト副腎においても微量ながら発現している事を示した。これにより正常副腎においてアルドステロン生合成を担っている本酵素が、細胞の腫瘍化に伴って何らかの機序で過剰に発現する事が確認された。 2.ラット副腎の組織化学的検討により、本酵素は皮質球状層の局在している事を明確にした。 3.レニンーアンギオテンシン系による本酵素のupーregulationは、遺伝子の転写レベルで行なわれている可能性を示した。 4.今後本酵素遺伝子の転写調節機構及び層特異的発現の機構を解析していく上で、ヒトのモデル系として利用する目的で、ラットの本酵素遺伝子を単離し、そのプロモ-タ-領域の構造を明らかにした。 次年度は本酵素遺伝子に作用する転写調節因子の検討に重点を置いて、研究を行なう計画である。
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[Publications] 荻島 正: "ヒト副腎皮質におけるアルドステロン合成酵素の発現" 生化学. 63. 975 (1991)
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[Publications] Mukai,K.: "Structural Differences in 5′ーFlanking Regions of Rat Cytochrome Pー450aldo and Pー450llβ Genes" Biochemical and Biophysical Research Communications. 180. 1187-1193 (1991)
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[Publications] Imai,M.: "Effect of Dietary Sodium Restriction on mRNA for Aldosterone Synthase Cytochrome Pー450 in Rat Adrenals" Journal of Biochemistry. 111. (1992)
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[Publications] Ogishima,T.: "ZoneーSpecific Expression of Aldostreone Synthase Pー450 and Cytochrome P450llβ in Rat Adrenal Cortex:Histochemical Basis for the Functional Zonation" Endocrinology. 130. (1992)