1992 Fiscal Year Annual Research Report
バンド3タンパク質が媒介する陰イオン透過機構の分子生化学的解析とその病態
Project/Area Number |
03670150
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
濱崎 直孝 福岡大学, 医学部臨床検査医学講座, 教授 (00091265)
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Keywords | バンド3蛋白質 / 陰イオン透過活性中心 / 膜貫通タンパク質 / 膜蛋白質の一次構造決定 |
Research Abstract |
赤血球膜バンド3蛋白質による陰イオン透過の機序を明らかにする目的で透過活性中心の同定とその構造解析を行った。これまでに、我々は陰イオン透過活性中心を、その透過系で媒介輸送されるピリドキサルリン酸を用いてアフィニティー標識し、標識部位を同定分離し、一次構造の決定を行なった。その部位はバンド3蛋白質のカルボキシ末端を含む78個のアミノ酸からなる領域であった。この領域はcDNA推測配列上では831番目から911番目のカルボキシ末端までである。この領域が透過活性中心の一部を構成しているにちがいないと考えられる。 この領域の一次構造解析の結果、851番目のリジン残基がピリドキサルリン酸でアフィニティー標識される部位であり、この残基より8残基前に位置する843番目のシステイン残基にはパルミチン酸がチオエステル結合を介して結合していることも判明した。この結合の生物学的意義は今のところ全く不明であるが、この周辺部のアミノ酸7残基の配列がある種のビールスの膜蛋白質に完全に保存されていることが、我々の検索で明らかになり、このようなアシル化の生物学的意義を明らかにする必要が生じた。 一方、上記部位に加えて、赤血球膜内側に位置するバンド3蛋白質分子のヒスチジン残基が、透過活性に必須であることを、我々は明らかにしている。このヒスチジン残基を同定すべく研究を行なっている。その結果、バンド3蛋白質の膜内貫通領域の高次構造解析の必要性が生じており、現在は、いわゆる膜貫通αヘリックス及び親水性連結ループの蛋白質化学的手法での同定を行なっており、その成果の一部は公表している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 濱崎 直孝: "赤血球膜内在性蛋白質" 臨床検査. 36. 184-186 (1992)
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[Publications] Masanori Ohyama: "Effect of Phosphoenolpyruvate on Metabolic and Morphological Recovery of Red Cells after Prolonged Liquid Storage and Subseguent Freezing in Glycerol Medium." Cryobiology. 29. 342-346 (1992)
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[Publications] 濱崎 直孝: "陰イオン交換輸送蛋白質(バンド3蛋白質)" 日本臨牀. 50. 2069-2076 (1992)
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[Publications] Hiroshi Ideguchi: "Band 3-Memphis is associated with a lower transport rate of phosphoenolpyruvate" Brit.J.Hamatol.82. 122-125 (1992)
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[Publications] 大久保 研之: "バンド3蛋白質研究の最近の展開" 生化学. 64. 1116-1120 (1992)
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[Publications] Dongchon Kang: "A Structural Study of the Membrane Domain of Band3 by Tryptic Digestion." J.Biol.Chem.267. 19211-19217 (1992)
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[Publications] Naotaka Hamasaki: "Quality Control in the Clinical Laboratory '91" Kawai,T.,Ohba,Y.,Kanno,T.,Kawano,K.,Ueda,K., 396 (1992)