1991 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性Tリンパ球のVDJ結合の特異性に関する研究
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03670154
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
湯本 典夫 千葉大学, 医学部, 助手 (40203658)
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Keywords | 腫瘍浸潤Tリンパ球 / 胃悪性リンパ腫 / PCR / T cell receptor / VDJ結合 / V usage / Vβ2 |
Research Abstract |
胃原発の悪性リンパ腫10例について、免疫組織化学的検索と遺伝子解析を行った。10例はすべてCD19,CD20,L26が陽性のBリンパ腫であった。これらの症例のうち4例では腫瘍中に浸潤するCD3陽性のTリンパ球の混在が特に多く、CD8陽性細胞も比較的多い例も認められた。遺伝子解析ではJH9例、Ck7例の再構成を認めたが、上記4例のうち3例ではTCRβの単クロ-ン性の再構成、1例で多クロ-ン性の再構成(3band)も認められた。これらの症例の組織型はびまん性中細胞型1例、大細胞型3例であった。 4例のBリンパ腫にみられたTCRβの再構成は浸潤するTリンパ球のクロナリティを意味すると考えられるため、Vβ1ーVβ20のプライマ-とCβプライマ-を用いたRTーPCR法によりV usageを検索した結果、4例ともVβ2を使っていた。3bandの再構成を示した中細胞型の1例はVβ2,Vβ4,Vβ5の発現が高かった。 これらより、胃悪性リンパ腫に浸潤しているTリンパ球には制限をうけた特定のTCRレパトリ-が存在する可能性が示唆された。次に2例のVβ2のPCR増幅産物のVDJ結合部のシ-ケンスを行った。単クロ-ン性の再構成を示した1例ではVβ2DJβ2.7の結合部の組合せが有意に使用されていることが判明した。以上より、胃悪性リンパ腫の浸潤Tリンパ球には抗原に特異的に多様性を示すCDR1,CDR2の領域が共通に使用され、さらにCDR3も制限されていることを認め、浸潤Tリンパ球が何らかの特異抗原の存在に依って誘導されている可能性が考えられた。 現在、VDJ結合部のDNA配列の検討を続行中である。
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