1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670160
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
栄本 忠昭 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (60140779)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立山 尚 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (80207068)
|
Keywords | 胸腺 / 胸腺腫 / 胸腺癌 / 免疫組織化学 / サイトケラチン / 細胞増殖能 / Nucleolar organizer region / Proliferating cell nuclear antinen |
Research Abstract |
本年度は胸腺癌の組織亜型と免疫組織化学的特徴を解析するとともに胸腺腫と胸腺癌の細胞増殖能を比較検討した。 胸腺癌は23例を集めたが、扁平上皮癌が9例と最多、他はリンパ上皮腫様癌が4例、明細胞癌が2例、粘液類表皮癌、類基底細胞癌、肉腫様癌、未分化大細胞癌、小細胞癌が各1例、扁平上皮癌と小細胞癌の混合型が1例、異型カルシノイドが2例であった。これらのサイトケラチン・パタ-ンは多くが咽頭粘膜に類似していた。また、扁平上皮癌の6例とリンパ上皮様癌の1例で、粘液染色またはセクレタリ-コンポ-ネントが陽性であった。肉腫様癌やカルシノイドではケラチンとビメンチンの両者が陽性に染まった。小細胞癌、異型カルシノイドの神経内分泌癌ではNSEが陽性、また、クロモグラニンがカルシノイドと扁平上皮癌の一部に陽性であった。免疫組織化学の結果から神経内分泌癌を含む胸腺癌は内胚葉由来であり、咽頭粘膜上皮あるいは髄質管上皮への分化を示していることが示唆された。 次に、リンパ球浸潤の乏しい胸腺腫20例を非浸潤例(9例)と浸潤・転移例(11例)に分け、腫瘍細胞の増殖能を胸腺癌(10例;扁平上皮癌8例、リンパ上皮腫様癌2例)の腫瘍細胞と比較した。方法としては核小体形成域(NORs)の銀染色(AgNORs)と増殖細胞核抗原(PCNA)の免疫組織化学染色を用いた。AgNORsは各症例の100個の細胞につき平均値を出し、PCNAは300個の細胞につき陽性細胞の比率を求めた。いずれの方法でも非浸潤型と浸潤型の胸腺腫間には有意の差を認めなかったが、胸腺癌細胞は両型の胸腺腫細胞より有意に高いNORs値とPCNA陽性率を示した。このことから、胸腺腫は非浸潤型でも低悪性度悪性腫瘍であり、浸潤型胸腺腫のみを悪性胸腺腫と呼ぶのは胸腺癌との混乱を求し不適切であると結論した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 立山 尚,多田 豊曠,栄本 忠昭,水野 力,正岡 昭: "胸腺癌と胸腺腫の増殖能を比較検討ー核小体形成域計測法を用いて" 日本病理学会会誌. 80. 274 (1991)
-
[Publications] 栄本 忠昭: "胸腺癌のスペクトルム" 第6回肺癌ワ-クショップ抄録集. 5 (1991)
-
[Publications] Tateyama H,Mizuno T,Tada T,Eimoto T,Hashimoto T,Masaoka A: "Thymic epithelial tumors.Evaluation of the malignant grade by quantification of nuclelolar organizer regions and proliferating cell nuclear antigen." Am J Surg Pathol.
-
[Publications] 栄本 忠昭(分担執筆): "上皮性胸腺腫瘍の基礎と臨床(正岡 昭,松山 睦司編)" 癌と化学療法社, (1992)