1992 Fiscal Year Annual Research Report
寄生蠕虫ミトコンドリアにみられる好気・嫌気の呼吸転換機構の解析
Project/Area Number |
03670201
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Research Institution | Juntendo University School of Medicine |
Principal Investigator |
高宮 信三郎 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90138206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古島 理江子 順天堂大学, 医学部, 助手 (50146776)
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Keywords | 回虫ミトコンドリア / 複合体II / 呼吸転換 / 肺吸虫ミトコンドリア / ユビキノン / ロドキノン / 嫌気呼吸 / 好気呼吸 |
Research Abstract |
本年度の研究として、1.ウエステルマン肺吸虫ミトコンドリアの呼吸鎖の解析、2.回虫成虫筋ミトコンドリアのフマル酸呼吸系末端酵素複合体IIの一次構造解析、の2課題を計画した。以下に概要を述べる。1については、メタセルカリア感染犬より回収した成虫から、蛋白分解酵素阻害剤を含むショ糖・マニトール混液を用い常法に従ってミトコンドリアを分離した。調製したミトコンドリアを用いて電顕による形態観察、酸素電極を用いた呼吸活性測定、呼吸鎖成分の分光学的定量、コハク酸酸化系を構成するコハク酸CoQ還元活性(SDH)、コハク酸シトクロムc__<_>還元活性、シトクロムc__<_>オキシダーゼ活性の測定、及び嫌気的フマル酸還元系の定量的解析を行なった。分離したミトコンドリアは、クリステ構造も明瞭に観察され、またコハク酸による膜電位形成能を有する比較的intactな標品であり、シアン感受性のコハク酸酸化活性がみられた。分光学的にシトクロムb__<_>、c__<_>、a__<_>を定量したところ、回虫にはほとんど検出されないシトクロムa__<_>が検出され、好気的な呼吸鎖が存在することが明らかとなった。同時に嫌気的フマル酸還元系も存在し、SDH/FRDの比は回虫とほぼ同じ低い値を示した。また、ミトコンドリアに含まれるキノンを抽出し、HPLC、吸収スペクトル、質量分析計で同定、定量したところ、肺吸虫ミトコンドリアにはロドキノン-10とユビキノン-10が存在し、前者が64%、後者が36%の割合であった。以上の成績は、肺組織中に虫襄を形成して寄生する肺吸虫のミトコンドリアは好気と嫌気の呼吸系をあわせもつ条件嫌気的性質を有することをはじめて定量的に明らかにしたものでありミトコンドリア呼吸鎖の適応・進化を考えるうえで画期的な知見である。課題2については、現在サブユニットCyb_L、Cyb_Sについてその正確な分子量、アミノ酸配列を解析中である。
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[Publications] Hua Wang et al.: "Comparative srudy on the primary structure of the Iron-sulfur subunit of complexII in Ascaris suum mitochondoria" Jpn.J.Parasitol.41. 122-131 (1992)
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[Publications] Shinzaburo Takamiya et al.: "Developmental changes in the respiratory chain of Ascaris mitochondria" Biochim.Biophys.Acta. 1141. 65-74 (1993)