1992 Fiscal Year Annual Research Report
SCIDマウスにおけるマウスアデノウイルス腸管感染実験
Project/Area Number |
03670236
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Research Institution | School of Medicine, Tokai University |
Principal Investigator |
志水 恵子 東海大学, 医学部, 講師 (20056302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 一男 東海大学, 医学部, 教授 (00055659)
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Keywords | SCIDマウス / マウスアデノウイルス / 免疫不全 / ウイルス持続感染 |
Research Abstract |
マウスアデノウイルス(MAV)を通常マウスに感染させると腸管で増殖し、3週目には糞便中から消失する。このMAV抵抗性因子は腸管局所のIgAクラスに属する中和抗体である。一方、先天的に胸腺を欠くヌードマウスにMAVを感染すると通常マウスのそれとは遅れて感染後6週頃にウイルス増殖抑制がみられた。このウイルス抵抗性は一過性であり、再びウイルスは腸管で増殖する。このヌードマウスにおけるウイルス抵抗性因子の解析の結果、中和抗体、インターフェロン、マクロファージ、NK活性の関与は否定的であったが、サイクロフォスファマイド投与によってウイルス抵抗性は完全に消失した。免疫不全動物が有するこのウイルス抵抗性を追求するために、重症複合免疫不全であるSCIDマウスにおけるMAV腸管感染実験を行なった結果、MAVに対する感染様相は2つのパターンとなった。1つは中和抗体の非産生に裏づけられるように実験終了時の感染14週目まで糞便中に高ウイルス量が検出され続ける完全な持続感染を示したもの、また1つは、中和抗体が産生されないにもかゝわらずウイルス増殖、抵抗性、増殖をくり返すパターンであった。後者については、SCIDマウスがNK、マクロファージ活性を有している事が原因として考えられるが、これらの因子は感染初期の抵抗性との関わりが深いので、長期にわたって出現する抵抗性因子とは考えにくい。現在では、1部のSCIDマウスにみられるこのウイルス抵抗性はヌードマウスのそれと共通したものと考え、更に追求中である。なお、MAVはSCIDマウスにおいても、腸管以外で増殖する事はなく、病原性も示さなかった。
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