1992 Fiscal Year Annual Research Report
経鼻接種ワクチンによるインフルエンザの予防効果増進のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
03670241
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Research Institution | National Institute of Health |
Principal Investigator |
田村 慎一 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 室長 (20100084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 毅 国立予防衛生研究所, 感染病理部, 部長 (50012779)
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Keywords | インフルエンザワクチン / ヌクレオプロテイン / コレラトキシンBサブユニット / 経鼻接種ワクチン / キラーT細胞 / 感染からの回復 |
Research Abstract |
本年度は、ワクチンやウイルスのコアの成分であるNPをCTBと共に経鼻接種したマウスにおいて、NPの感染防御における役割を検討した。(1)ワクチンとCTBを接種して7日目のマウスの肺や脾臓には、キラーT細胞の誘導はみられなかった。(2)ワクチンとCTBを経鼻接種したマウスにウイルスを感染させると、ウイルス感染のみの対照群に比較してキラーT細胞が早期に誘導されるようになった。このことは、CTB併用ワクチンによって、キラーT細胞産生に関与するメモリー細胞が誘導されることを示唆していた。(3)(1)CTB併用ワクチン接種7日後のマウスの脾細胞を、感染細胞と共に5日間培養すると、高いレベルのキラーT細胞が誘導された。(2)このメモリー細胞によるin vitroキラー加速誘導能力は、脾細胞と標的細胞のMHCが一致している時にのみ検出された。(3)このメモリー細胞は、CTB併用ワクチン接種3日以後のマウスに出現した。(4)また、このメモリー細胞は、A型ウイルス感染標的細胞を用いた時、同じA型の異なる亜型のワクチンをCTBと共に接種した時にも検出されたが、B型のワクチンを接種したマウスでは検出されなかった。即ち、A型ウイルス間で共通のコアの成分に対して誘導されていることが示唆された。(4)(1)コアの成分であるNPをCTBと共に接種して7日目のマウスの脾細胞と共に5日間培養すると、上記と同様に高いレベルのキラーT細胞が誘導された。(2)A型ウイルスの由来のNPをCTBと共に接種したマウスでは、PR8の軽いチャレンジ感染に対して、3日目以後急速なウイルス産生減少を示した。(3)また、NP接種群では、致死量のウイルス感染に対して4週後80%の生残数をしめした。以上の結果は、ワクチンに含まれているNPが、CTBと共に経鼻接種された時、メモリー細胞を誘導し、これらがウイルスチャレンジの際にキラー細胞の誘導を加速し、感染からの回復を促進していることを示唆している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tamura,S-I.,et al.: "Superior cross-protective effect of nasal vaccination to subcutaneous inoculation with influenza hamagglutinin vaccine" Eur.J.Immunol.22. 477-481 (1992)
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[Publications] Hirabayashi,Y.,et al.: "Involvement of antigen-presenting cells in the enhancement of the in vitro antibody responses by cholera toxin B subunit" Immunology. 75. 493-498 (1992)
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[Publications] Gizurarson,S.,et al.: "Stimulation of the transepithelial flux of influenza HA vaccine by cholera toxin B subunit" Vaccine. 10. 101-106 (1992)
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[Publications] Tamura,S-I.,et al.: "Cross-protection against influenza virus infection afforded by trivalent inactivated vaccines inoculated intranasally with cholera toxin B subunit" J.Immunol.149. 981-988 (1992)