1992 Fiscal Year Annual Research Report
MHC分子に高親和性を示す抗原上アグレトープのアミノ酸モチーフの検索
Project/Area Number |
03670243
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小笠原 一誠 北海道大学, 免疫科学研究所, 助教授 (20169163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩渕 和也 北海道大学, 免疫科学研究所, 助手 (20184898)
小野江 和則 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (40002117)
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Keywords | 3分子複合体 / アグレトープ / エピトープ / DQw6トランスジェニックマウス / ヘムアグルチニン / カセットセオリー |
Research Abstract |
T細胞が抗原を認識し反応するためには、主要組織適合抗原複合体(MHC)分子、抗原ペプチド、T細胞抗原レセプター(TCR)の3者による3分子複合体の形成が必要になる。従って、抗原ペプチドがMHC分子に結合できれば、その抗原ペプチドはT細胞を活性化できると考えられる。我々は、マウスMHCクラスII分子の各ハプロタイプ特異的に結合しT細胞を活性化するペプチドを同定し、昨年報告した。今年度は、ヒトのMHC分子に結合するペプチドを同定するために、ヒトのMHC遺伝子を移入したトランスジェニックマウスの作製を試みた。 当研究室で作製中のDR4トランスジェニックマウスにはPCRでは遺伝子が導入されていることが確認されたので、現在各組織でのDR4分子の発現を検討している。これとは別に、九大の笹月先生よりDQw6トランスジェニックマウスが提供されたので、DQw6に結合しT細胞を活性化するハトチトクロームc類似のペプチドを同定した。MHC分子と結合するアグレトープである46,54番残基がそれぞれアルギニン、アラニンのペプチド(AEGRSYTVANKAKGIT)がDQw6分子に結合することが判明した。また、インフルエンザウイルスのヘムアグルチニンの123-138番残基よりなるペプチド(EGFTWTGVTQNGGSNA)もDQw6分子に結合することが明らかになった。 MHC分子と結合するハトチトクロームc由来の部分を残しTCRに結合する部分(エピトープ)をインフルエンザウイルスのヘムアグルチニンに置換することにより、元々は免疫原性のないペプチドに免疫原性を持たすことが可能になる(カセットセオリー)ことを我々はマウスで証明している。従って、ヒトのMHC分子と結合するモチーフが同定されたことにより、ヒトに有効なインフルエンザウイルスに対するペプチドワクチン作製の可能性が示された。
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[Publications] Gotohda,T.: "Analysis of functional sites on a peptide antigen,p43-58,in I-A or I-E-restricted T cell responses." International Immunology. 3. 503-509 (1991)
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[Publications] Negishi,I.: "H-2K molecules positively select V17βa^+CD4^-8^+T cells in bone marrow and thymic chimeras." Cellular Immunology. 136. 185-193 (1991)
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[Publications] Itoh,Y.: "A hole in the T cell repertoire specific for a pigeon cytochrome c related peptide associated with amino acid substitutions on I-A^b molecules." International Immunology. 4. 779-787 (1992)
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[Publications] Ogasawara,K.: "A strategy for making synthetic peptide vaccines." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 89. 8995-8999 (1992)
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[Publications] 小笠原 一誠: "MHCとポリペプチドーワクチンのデザインー" Medical Immunology. 22. 841-848 (1991)
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[Publications] 小笠原 一誠: "MHC分子とペプチド結合" 実験医学. 10. 561-563 (1992)
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[Publications] 小笠原 一誠(分担): "Anual Review 細胞生物学1991" 中外医学社, 395 (1991)
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[Publications] 小笠原 一誠(分担): "新免疫学読本" 日本評論社, 208 (1991)