1991 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト内在性レトロウィルス遺伝子の病理学的意義、特に慢性関節リウマチへの関与
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03670244
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇坂 明美 北海道大学, 医学部, 助教授 (90113646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉木 敬 北海道大学, 医学部, 教授 (60220612)
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Keywords | 内在性レトロウイルス / 慢性関節リウマチ / クロ-ニング |
Research Abstract |
[目的]慢性関節リウマチ(RA)と酷似するHTLVーI関節症(HAAP)では関節滑膜上皮に発現されたHTLVーIウイルス蛋白に対する自己免疫反応であることが明らかにされつつある。我々はRA患者ではHTLVーI抗体価は陰性であることから、これに替わるウイルスとしてヒト内在性レトロウイルスを候補に挙げている。今回はそのために必要なERV3に近縁する新しい内在性レトロウイルスのクロ-ニングを行ったので報告する。[材料と方法]ヒトgenomicDNAをEcoRIにて完全消化後、λgt10にligationし、ライブラリ-を作製した。 ^<32>P標識したERV3env断片をプロ-ブとして約50万個のクロ-ンをスクリ-ニングした。一次スクリ-ニングで10個の陽性クロ-ンを得、これをさらに二次、三次のスクリ-ニングを経て最終的に3個のクロ-ンを得、SYー1、SYー2、SYー3と名づけた。これらのクロ-ン ^<32>P標識し、サザン及びノ-ザン解析を行ってそれらの存在様式と発現について検索した。[結果および考察]SYー1はEcoRI消化後のサザン解析では女性由来のDNAとはハイブリダイズせず、男性由来のDNAとのみハイブリダイズし4kbの一本のバンドが観察された。これからSYー1はY染色体上に存在する単一コピ-型の内在性レトロウイルスであることが明らかになった。SYー2、SYー3では性差は見られず、前者は4.4kbの唯一本バンドが、後者では2.2kbのメインのバンドと数個の薄いバンドが観察された。胎盤由来の全RNAを用いたノ-ザン解析ではSYー1、SYー2では発現が見られずabortiveなウイルスと考えられた。一方、熊SYー3では4.5kb3.2kb、1.5kbの3本のmRNAを確認できた。今後、SYー3のRA滑膜上皮での蛋白発現について検索する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Moriuchi,J.: "Association of the Complement allele C4AQO with primary Sjogren's syndrome in Japanese patients." Arthritis and Rheumatisms. 34. 224-227 (1991)
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[Publications] 佐々木 秀直: "遺伝性脊髄小脳変性症の遺伝子座決定に関する研究ー遺伝性オリ-ブ橋小脳萎縮症" 神経研究の進歩. 35. 664-684 (1991)
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[Publications] 脇坂 明美: "インスリン依存性糖尿病の遺伝要因" 日本臨床免疫学会誌. 14. 495-498 (1991)
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[Publications] 脇坂 明美: "インスリン依存性糖尿病とHLA" BIOmedica. 6. 37-41 (1991)
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[Publications] 脇坂 明美: "コンピュ-タ-プログラムによる連鎖検定" 最新医学. 46. 149-160 (1991)
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[Publications] 佐々木 秀直: "ジョセフ病4家系の臨床病理学的検討" 北海道医学雑誌. 67. 174-190 (1992)
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[Publications] Wakisaka,A.: "Frontiers of mucosal Immunology,vol.2" Excerpta Medica, 4 (1991)
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[Publications] Wakisaka,A.: "Molecular approaches to the study and treatment of human diseases" Elsevier, 7 (1992)