1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670257
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前川 利男 理化学研究所, バイオデザイン研究グループ, 研究員 (90201764)
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Keywords | HIVー1 / エンハンサ-結合蛋白質 / HIVーTF1 / HIVーEP2 |
Research Abstract |
HIVの感染とそれに続く増殖はAIDS発症の重要な要因であり、今日感染者数の加速度的な増加につれて大きな社会問題となっている。HIVの増殖にはウイルスLTR内の転写調節領域が大変重要な役割を担っているが、これまで私達はHIVー1のエンハンサ-領域に特異的に結合して転写を促進する蛋白質を精製してきた。今回、新たにエンハンサ-の約60塩基対上流に結合する蛋白質HIVーTF1をヒトB細胞から精製した。HIVーTF1は39kdの分子量を持ち、in vitroの転写系においてエンハンサ-結合蛋白質と協調して転写を活性化することが明らかになったが、結合配列の比較からUSF蛋白質と相同性の高いものであることがわかった。また、ホスファタ-ゼで処理するとDNA結合能が著しく減少することから、何らかの蛋白質リン酸化酵素によるHIVーTF1の修飾がDNA結合に必須であると考えられる。ヒトT細胞由来のJurkat細胞を用いたin vivoの実験からもHIVーTF1の重要性が示されたので、今後リン酸化シグナル伝達経路との関連、プロモ-タの活性化の機構を解明していきたい。一方、私達はこれまでサウスウエスタン法を用いてHIVー1のエンハンサ-領域に特異的に結合する蛋白質HIVーEP1をコ-ドするcDNAを単離してきた。今回HIVーEP1のDNA結合ドメインであるメタルフィンガ-構造をコ-ドするDNA断片をプロ-ブに用いて、関連遺伝子HIVーEP2遺伝子を単離することができた。HIVーEP2は1833個のアミノ酸からなる蛋白質であり、Ser/Thrに富む領域、メタルフィンガ-構造からなる。DNA結合ドメイン、酸性アミノ酸クラスタ-の3つの部分でHIVーEP1と高い相同性を有している。また、HIVーEP2はT細胞由来のMoltー4細胞やある種の腫瘍細胞で強い発現が見られ、TPAとPHAによる刺激でHIVーEP1と同様に発現誘導が起こることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Toshio Maekawa: "USF-related transcription factor,HIV-TF1,stimulates transcription of human immunodeficiency virus-1" Nucleic Acids Research. 19. 4689-4694 (1991)
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[Publications] Nobuo Nomura: "HIV-EP2,a new member of the gene family encoding the human immunodeficiency virus type 1 enhancer-binding protein" J.Biol.Chem.266. 8590-8594 (1991)