1991 Fiscal Year Annual Research Report
臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム暴露作業者の健康影響、とくに発癌性に関する研究
Project/Area Number |
03670278
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
川見 正機 (財)労働科学研究所, 労働衛生・病理学研究部, 主任研究員 (80153005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 勇 (財)労働科学研究所, 労働衛生・病理学研究部, 研究室長 (80124311)
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Keywords | 臭素酸ナトリウム / 臭素酸カリウム / 職業的暴露作業者 / SCE頻度 / 小核頻度 / 細胞遺伝学的モニタリング / 吸入暴露動物実験 / 職業性発癌物質 |
Research Abstract |
臭素酸カリウムは変異原性物質とされているが、臭素酸化合物の職業的影響における発癌性に関連して、職業的暴露作業者による細胞遺伝学的影響についての検討、また吸入暴露動物実験による基礎的検討を行っている。 これまでに、臭素酸化合物暴露作業者32名、及び性、年齢、喫煙歴をマッチさせたコントロ-ルについて姉妹染色分体交換(SCE)頻度の測定を実施した。その結果、SCE頻度修飾因子として喫煙影響を認めたこと、SCE頻度は暴露作業者において高値傾向を示し、臭素酸化合物取り扱い作業期間に正の相関を示すことなどが明らかになった。さらに、臭素酸化合物の変異原性について基礎的検討を実施するために、V79株化細胞、ヒト末梢血リンパ球を用いての誘発SCE頻度、誘発小核(MN)頻度についての検討も追加実施した。おもな結果として、誘発SCE頻度は臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムの投与量と量依存的に上昇傾向を示し、ほぼ10^<ー6>〜10^<ー4>mole濃度域でSCE頻度が誘発されることを認めた。また、臭素酸化合物10^<ー6>mole濃度における誘発MN頻度は重クロム酸カリウム10^<ー6>mole濃度の誘発MN頻度に匹敵した。こうしたことから臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウムともにgenotoxic carclnogenであることを確認している。 なお、暴露作業者におけるMN頻度測定及び吸人暴露動物実験による基礎的検討を含め、さらに臭素酸化合物職業暴露による発癌性についての検討を進めたい。
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[Publications] 川見 正機,海老原 勇: "臭素酸化合物暴露作業者の末梢血リンパ株SCE頻度及び小核頻度" 労働科学. (1993)
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[Publications] 川見 正機,海老原 勇: "臭素酸ナトリウム吸入暴露動物実験における細胞遺伝的影響" 労働科学. (1993)