1991 Fiscal Year Annual Research Report
単一神経細胞を用いた環境因子による末梢神経障害の発現メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
03670280
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横山 和仁 東京大学, 医学部・(医), 助教授 (00158370)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 尚彦 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80010023)
赤林 朗 東京大学, 医学部・(医), 日本学術振興会特別研 (70221710)
村田 勝敬 東京大学, 医学部・(医), 助手 (80157776)
|
Keywords | ニュ-ロパチ- / 単一ニュ-ロン / 神経伝導速度分布 / 酵素サイクリング法 / 重金属 / 有機溶剤 / 局所振動 / 軸索輸送 |
Research Abstract |
今年度の研究では、種々の有害化学および物理学的因子による末梢神経障害のメカニズムを明らかにする目的で、これらの因子に暴露するヒトおよび実験動物を対象に、1)神経線維の直径と障害されやすさの関係を神経伝導速度分布(DCV)により解析し、さらに2)単一神経細胞体の酵素活性の変化を超微量分析法(酵素サイクリング法)により検討した。以下の知見が得られた。 1)局所振動、鉛、タリウム、nーヘキサン、混合有機溶剤、スチレン、アルコ-ルおよび糖尿病による顕性および非顕性の末梢神経障害を有するヒトを対象とした研究により、主として伝導速度が速い(直径の太い)神経線維が伝導の遅い(直径が細い)線維より障害されやすく、かつ伝導速度の回復が遅れることが明らかとなった。また、これらの影響は可逆的であることが多いことが示された。 2)実験動物およびヒトにおけるニュ-ロパチ-でDCVと組織所見(線維直径ヒストグラム)を比較検討することにより、DCVが末梢神経内の神経線維の直径分布をよく反映し、非侵襲的な「バイオプシ-」として今後利用できる可能性があることが示された。 3)鉛および2,5ーヘキサンジオンによる実験的ニュ-ロパチ-を対象に超微量分析法(酵素サイクリング法)により解析を行なったところ、脊髄前角ニュ-ロンのエネルギ-利用速度が低下する。この低下の結果、前角ニュ-ロンの遅い軸索内輸送の障害が起こることが明らかになった。これに対し、脊髄白質のグリア細胞ではこのような低下は明らかでないことが示された。 補助金は補助条件に従って適切に使用した。設備備品費は、研究の進展に従い消耗品費が必要となったのでこれに振替え、当初申請した備品は別の研究費で購入したものを使用した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Murata,K: "Autonomic and peripheral nervous system dysfunction in workers exposed to handーarm vibration" Int Arch Occup Environ Health. 63. 205-211 (1991)
-
[Publications] Murata,K: "Autonomic and peripheral nervous system dysfunction in workers exposed to mixed organic solvents" ibid. 63. 335-340 (1991)
-
[Publications] Murata,K: "Assessment of the peripheral,central and autonomic nervous system function in styrene workers" Am J Ind Med. 20. 775-784 (1991)
-
[Publications] Araki,K: "Assessment of the effects of occupational and environmental factors on all faster and slower large myelinated fibers" Environ Res.
-
[Publications] Yokoyama,K: "Assessment of slow axonal transport in leadーexposed rats" ibid.
-
[Publications] Sax,D: "Doseーeffect relationship between 2,5ーhexanedione and distribution of nerve conduction velocities in experimental animals" Neurotoxicology.