1992 Fiscal Year Annual Research Report
地域における脳卒中発症者の機能障害状況の把握に関する研究
Project/Area Number |
03670288
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
小澤 秀樹 大分医科大学, 医学部(公衆衛生医学), 教授 (90204198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青野 裕士 大分医科大学, 医学部(公衆衛生医学), 助教授 (80150936)
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Keywords | 脳卒中 / 寝たきり / 地域調査 / 機能障害 / 発生率 |
Research Abstract |
対象人口が特定された一定の地域において系統的に調査を行うことにより、脳卒中発症者、有病者及び脳卒中による日常生活の障害者を正確に把握することを試みた。対象は大分県A町人口5,800人である。国保加入者及び70歳以上の者について、町役場に集まる診療報酬請求書により、昭和63年1月から平成2年12月までの期間におれる脳卒中新発症者を把握した。同町の国保加入率は40%であり、老人医療の対象となる70歳以上の人は国保加入者を除くと全人口の約10%であるため、国保及び老人医療を合わせても人口の50%しかカバーできない。しかし、脳卒中発生の50%強が70歳以上であり60歳代が35%を占め、この年齢層の国保加入率が高いため両保険のレセプトで脳卒中の大半は把握できる。これらによる把握漏れを補うために、町住民の大半が受診する隣町にある広域国保病院で行われている脳卒中登録情報及び地域保健組織(愛育班)が訪問で得た情報により補足した。 上記により把握された脳卒中発症者は3年間において72名で、年当たり人口千対4.8人であった。発症1年後までに32名(44%)が死亡しており1年後の生存者は40名であった。発症1年後における脳卒中後遺症による生活機能障害状況は40人中全介助の人が17.5%、ベッド上生活ないし屋内歩行可能が12.5%で、残り70%の人は屋内歩行可能であった。高齢者では障害状況の重い人が多く、80歳以上では31%が全介助で、屋内歩行は44%と低かった。家屋構造に不便を感じている人は41%あり、特に便所、浴室、寝室に不便を訴える人が多かった。しかし、不便な所を改造した人はそのうち半数に留まっており、自宅療養生活の支援システムの必要性が指摘された。発症1年後においては生存者の80%が自宅で生活しており、自宅療養システムの整備はハード面だけでなく、デイケア、機能訓練等ソフト面の事業も広く取り入れることが必要であるものと考えられる。
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[Publications] 白坂 真男,溝部 正夫,小澤 秀樹,青野 裕士,加茂 成人,小笠原 正人,吉田 真津子: "武蔵町における脳卒中発症者の生活状況予後" 大分県脳卒中懇話会誌. 13. 50-53 (1992)