1991 Fiscal Year Annual Research Report
O型血清の示すABO式血液型亜型血球の凝集能の解明
Project/Area Number |
03670302
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吾郷 一利 鹿児島大学, 医学部, 講師 (20102056)
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Keywords | 法医血清学 / ABO式血液型 / O型血清 / 抗A,B抗体 / 亜型 / 変異型 / アフイニテイ精製 |
Research Abstract |
1.O型血清中の抗体の分画:A型ならびにB型活性免疫吸着体を用いたアフイニテイ精製手技によって,0型血清中の抗体を抗A活性のみを示す抗体(抗A画分),抗B活性のみを示す抗体(抗B画分),1分子で抗A,抗Bの両活性を示す抗体(抗A,B画分)に分画した.なお,A型ならびにB型血清から同様にして精製した抗A抗体(単特異的抗A抗体)と抗B抗体(単特異的抗B抗体)を対照として以下の検討に用いた. 2.各画分の亜型・変異型血球凝集能:標準血球に対して力価128倍に調製した各抗体溶液に,亜型・変異型血球8例(Ax型:2例,A_3B型:1例,Bm型:4例,ABm型:1例)をつけ,その凝集能を検討した.Ax型血球2例とBm型血球4例中3例では対照とした単特異的抗Aや抗B抗体では全く凝集を認めなかったが,O型血清由来の抗A,B画分と血球の型に対応した抗Aあるいは抗B画分では凝集を認めた(力価2ー4倍).また,A_3B型とABm型血球では,それらの亜型・変異型部分に対する単特異的抗Aや抗B抗体の反応は認められないか(ABm型),認めらても弱い(A_3B型力価1倍)ものであったが,O型血清由来の抗Aあるいは抗B画分では比較的強い反応(力価4ー8倍)が認められた. 3.免疫グロブリンクラスの検討:A型あるいはB型血清由来の抗Aや抗B抗体がIgMとIgGの混在したものであるのに対して,O型血清由来の各抗体画分はIgGのみが検出され,免疫グロブリンクラスにおいても違いがみられた. O型血清の示す亜型・変異型血球凝集能は,1分子で抗A,抗B両活性を有するいわゆる交又反応性抗A,B抗体がその本態ではないかと考えられてきている.しかし,今回の成績では,O型血清中の抗A,B抗体のみならず抗Aあるいは抗B活性のみを有する抗体にも亜型・変異型血球凝集能が認められ,O型血清中の抗Aや抗B抗体はA型あるいはB型血清中の抗Aや抗B抗体とは異なった活性をもつことが示された.
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