1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 明 東京大学, 医学部・(病), 助手 (70175660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓑田 清次 東京大学, 医学部・(病), 助手 (30211593)
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Keywords | TGFーβ / 糖尿病性腎症 / IgA腎症 / 強皮症 / ELISA |
Research Abstract |
我々は糖尿病性腎症における糸球体硬化にtransforming growth factor β(TGFβ)が関与しているという想定の下に研究を進めた。従来TGFーβのアッセイ系としてはバイオアッセイしかなかったが、我々はTGFーβの活性部位を含むショ-トペプチドを合成して抗体を得、ELISA系を樹立した。この糸を使用して、代表的な一次性の腎炎であるIgA腎症患者、糖尿病性腎症、強皮症におけるTGFーβの動態を調べた。その結果、1.IgA腎症患者血中のTGFーβ値は健常人に比して有意に高値であった。また血中TGFーβ値と血中IgAレベルの間には正の相関が認められた。最近、TGFーβがIgAのクラススイッチを引き起こす因子であることが判明したことと考え合わせると、TGFーβがIgA腎症発症に重要な役割を果たしている可能性が示された。2.強皮症は皮膚結合織において線維芽細胞の基質産生が異常に高まっている疾患である。上記のELISA法によって患者血中のTGFーβを測定したところ、健常人より有意に高値であることを見出だした。同じ膠原病である全身性エリテマト-デスでは高くなかったので、TGFーβは強皮症の特徴的な病態の発現に関わっている可能性が強く示唆された。3.糖尿病性腎症患者の血中および尿中TGFーβ濃度を測定したところ、一部に高値を示す症例があった。4.2種のモノクロ-ナル抗体を使用して、活性のあるTGFーβを、従来の方法に比して10倍の感度で、再現性よく定量できるELISA系の樹立に成功した。この方法により、各種腎炎、糖尿病性腎症、強皮症など組織の線維化を来す疾患について、TGFーβの関与を検討しているところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山田 明: "活性型TGFーβのイムノアッセイ" 厚生省特定疾患強皮症調査研究班平成3年度研究報告書. (1992)
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[Publications] 山田 明: "強皮症患者血中TGFーβの検討" 厚生省特定疾患強皮症調査研究班平成3年度研究報告書. (1992)
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[Publications] 山田 明: "モノクロ-ナル抗体を用いた活性型TGFーβのイムノアッセイ" 厚生省特定疾患強皮症調査研究班平成3年度研究報告書. (1992)