1992 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌の遺伝子治療 ras蛋白のファルネシル化阻害による癌治療の検討
Project/Area Number |
03670354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松橋 信行 東京大学, 医学部(病)第3内科, 助手 (10221590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 龍彦 東京大学, 医学部(病)第3内科, 助手 (90170266)
大西 真 東京大学, 医学部(病)第3内科, 助手 (00183236)
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Keywords | ras / ファルネシル化 / 癌治療 / HMG CoA reductase阻害剤 / farnesyl:protein transferase |
Research Abstract |
これまでの検討で、HMG-CoA reductase阻害剤は諸種の細胞に対し増殖抑制作用を有すること、その抑制はコレステロール合成抑制だけによるものではないことがわかった.また、各細胞のras蛋白発現の程度とHMG-CoA red uctase阻害剤による増殖抑制効果は必ずしも相関しないことが判明した.また、従来の報告とことなり、メバロン酸ではその増殖抑制を完全には回復させられないことも判明した。すなわち、HMG-CoA reductase阻害剤による増殖抑制はコレステロール、ras蛋白以外の要素にも依存していることが示された. 合成ペプチドによるfarnesyl:protein transferase活性の競合阻害を介しての諸種の細胞のin vitroの増殖抑制は困難であると考えられた。細胞内へ到達しうる特異的なfarnesyl:protein transferase阻害剤がまだ利用可能でないため、当面は非特異的にHMG-CoA reductase阻害剤を用いて検討せざるをえない. 担癌動物に対するHMG-CoA reductase阻害剤の効果は既に検討した報告があり、一定の抑制効果があるとされている。我々は、肝癌を自然発症するマウスを用いて発癌抑制効果がHMG-CoA reductaseにあるかを検討中である。年余にわたる時間を要する実験であり、途中段階のためまだ評価はできないが、少なくとも今の所、HMG-CoA reductase阻害剤の長期投与による重篤な副作用はみられていない。発癌抑制は理論的に最も期待される効果であるのにまだ報告がなく、結果が期待される。
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