1992 Fiscal Year Annual Research Report
長期アルコール摂取の中止による肝癌発症促進機構とその予防
Project/Area Number |
03670370
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高後 裕 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10133183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越田 吉一 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10231309)
茂木 良弘 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30190953)
新津 洋司郎 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10045502)
|
Keywords | LECラット / アルコール代謝 / ALDH |
Research Abstract |
昨年度までの検討により、Long Evans Agouti(LEA)ラット及び肝炎、肝癌自然発症ラットLong Evans Cinnamon(LEC)はアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の欠損を有し、5%エタノール含有液体飼料(Lieber食)で飼育すると急性アルコール中毒様症状を呈し、死亡することが明らかになった。本年度は、死因を検討する目的で血清トランスアミナーゼを経時的に測定するとともに、肝、腎、心および脳の組織学的変化を観察した。【方法および結果】6〜8週齢のLEA(n=13)、LEC(n=22)及びWistar(n=6)ラットを5%エタノール含有Lieber食(オリエンタル酵母)で飼育した。対照食はLieber食中のエタノールの熱量をショ糖で置換した飼料を用いた。飼育開始2週後までにエタノール食投与群のLEA及びLECラットの大半は死亡した。その死亡率は、飼育開始1週後でLEA(5/9)、LEC(7/17)、2週後までで、LEA(6/7)、LEC(14/14)であったが、対照食群及びWistarラットは全例生存していた。飼育開始後経時的に血清GPTおよびGOT濃度をセロテック社製キットを用いて測定した。死亡したラットから肝、腎、心および脳を摘出し、フォルマリン固定、パラフィン包埋後Hematoxillin-Eosin染色標本を作製し、光学顕微鏡下で観察した。【考察及び結論】LEA、LECラットともに、エタノール投与1週後より対照の2倍程度の血清GOTおよびGPT値の上昇を認めたが、肝組織の変化はほとんどなく、肝障害がラットの死因となったとは考えにくい。また、腎、心および脳組織においても、エタノール投与による変化は全く見られなかった。死亡したラットは、エタノール投与後数日内に、ふらつき、動作緩慢などを呈し、酩酊状態に陥ったと推定され、肝ALDH活性が低下しているため、血中アセトアルデヒド濃度の上昇による中枢神経系の障害がその死因となった可能性が高い。すなわち本ラットとは、ヒトの急性アルコール中毒の病態を解析する上で有用なモデル動物といえよう。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kato J,Kongo Y, et al: "Abronnal Hepatic Iron Accumulation in LEC Rats." Jpn.J.Cancer Res,in Press. 84. (1993)
-
[Publications] 中島 正博他: "Long Evans系ラットにみられたエタノール代謝異常" アルコール代謝と肝. 13. (1993)