1992 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌転移細胞系の樹立とその生化学的、形態学的研究
Project/Area Number |
03670387
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
丹野 宗彦 (財)東京都老人綜合研究所, 分子生物学, 研究員 (90056862)
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Keywords | 大腸癌 / 転移細胞 / PCNA |
Research Abstract |
癌細織中の転移能を有する癌細胞を分離、選別し、転移癌細胞の諸性質を検討している。 転移癌細胞系の株を得る目的で、ヒト大腸癌細胞(SW620)をヌードマウスの脾臓に移植し、肝に転移させ、転移結節を得た。これを再び培養し、同様の操作を繰り返えし選別を行なっている。昨年度の第12代目に引き続き現在まで17代目までの選別を行なった。対照は癌細胞を直接肝臓に移殖し、得られた癌細胞を培養し、これを再び肝臓に移殖するという方法を繰り返し行い、第8代目迄作成した。 今年度は生化学的検対としてNMRを用いた大腸癌組織のプロトン(^1H)apectroscopyの検討および細胞増殖核抗学(PCNA)と癌抑制遺伝子p53の発現を免疫組織化学的に検討中である。水素を構成成分としたプロトンspectroscopyについては、ヒト大腸癌組織の悪性度が高くなったり、転移能の増大傾向に従って正常大腸粘膜のスペクトラのピーク群に比してコリン基の相対的な増大傾向が認められ、コリン基代謝の変化が癌の浸潤能や転移能と関係している可能性が示唆されている。この点について培養細胞を用いて検討した。転移の代数を重ねた培養細胞では対照とした癌細胞に比してコリン基ピークの増加傾向を示したが、これらの代数の長期培養した細胞を用いるとこの傾向は消失し、培養による影響も考えられるので、組織による検討も必要と考え検討している。 免疫組織化学検査では現在迄得られた知見ではPCNA抗原は転移の代数を重ねるに従って陽性細胞数の増加傾向を示した。この知見より転移能のある大腸癌細胞ではPCNAの増加に伴いDNA polymerase δ活状が高まっている可能状がある。現在この方面の実験を開始しているところである。
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