1991 Fiscal Year Annual Research Report
サルコイド-ジスの慢性化に関する免疫学的・分子遺伝学的研究
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03670397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
泉 孝英 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (80027101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 苑子 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (30217955)
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Keywords | サルコイド-ジス / 慢性化 / アンジオテンインII / ILー1β / TNFα |
Research Abstract |
肺サルコイド-ジスにおいて,類上皮細胞肉芽腫症病変の形成・持続は,炎症の慢性化をきたし,線維化病変形成による機能障害がもたらす要因である。したがって,炎症の自然寛解化,慢性化を区別する因子の解明は,サルコイド-ジスの臨床におけるきわめて重要な課題である。 本研雪においては,自験700症歴の各種病期症例を対象とし,気管支肺胞洗浄液(BALF)細胞を用いて慢性化因子の検索をすすめた。 慢性化症例の肺胞マクロファ-ジにおけるアンギオテンシンII・レセプタ-の局在に関する検討:サルコイド-ジスの慢性症例のマクロファ-ジでは,T細胞増殖・活性化を指標としたアクセサリ-機能は,アンギオテンシンIIを添加することにより増強される。この機序を検討したところ,アンギオテンシンIIに対するレセプタ-は,細胞膜上ではなく細胞質内の存在することが示された。本レセプタ-の出現機序,アンギオテンシンIIとレセプタ-との結合の各種マクロファ-ジ機能におよぼす影響に関する検討は今後の課題である。 マクロファ-ジにおけるILー1β,TNFα産生遺伝子の活性化状況に関する検討:発病後まもない活動期症例,慢性症例のマクロファ-ジを対象として,PCR法にて,肉芽腫症病変形成への関与が指摘されているILー1β,TNFαの産生遺伝子の活性化状況を検索し,健常人における状況と比較した。健常人,慢性症例では,ILー1β,TNFα,いずれのmRNAも発現していた。しかし,活動期症例では,ILー1βのみ発現しており,TNFαの発現していない症例が40%に認められた。このことは,TNFαのmRNA発現にregurationの働いている事実を示すものである。今後,さらに複数の病変形成に関与する各種サイトカイン遺伝子発現状況と病期との関連性についての検討を進め,慢性化因子を明らかにすることを予定している。
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