1991 Fiscal Year Annual Research Report
ラット大脳皮質内移植青斑核神経細胞に対する神経栄養因子
Project/Area Number |
03670414
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
坂戸 俊一 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (10142275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井手 芳彦 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (10100835)
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Keywords | ラット / 青斑核 / ノルアドレナリン / 神経細胞移植 / 大脳皮質 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
青斑核ノルアドレナリン(NA)作動性神経細胞に対する、大脳皮質内神経栄養因子探求を目的として、以下の実験を行なった。 1. ラット胎児脳より青斑核を取り出し、NA神経細胞を含む細胞浮遊液を作製、成熟ラット大脳皮質内に移植、生着可能であるかをみた。 2. 脳組織の損傷、脱神経支配は、脳組織内の神経栄養因子濃度を高める可能性が考えられており、移植前の成熟ラットに、以下の処置を加え、移植細胞生着にいかなる影響を及ぼすかを検討した。(1)前処置なし、(2)電流による青斑核焼灼破壊、(3)6ーOHDA注入による青斑核破壊、(4)イボテン酸注入による前脳基底核アセチルコリン神経細胞破壊、(5)(3)および(4)両処置による両核の破壊。これら5群につき移植8季後、移植部大脳皮質を取り出し、HPLCにてNA含量を測定、(6)非移植群と比較した。なお、測定に被移植ラット自身のNA混入を防ぐため、屠殺前にすべての群で青斑核破壊を行なった。 結果: 正常ラット大脳皮質NA含量260±40ng/g(mean±SD)に対し、(1)250±52(n=9)*,(2)274±60(n=4)*,(3)69±51(n=6),(4)201±37(n=3)*,(5)68±52(n=6)であった。非移植群(6)46±19(n=9)に比べ、移植群はいずれも高値を示したが(*p<0.01)、前処遅なし(1)および電流による青斑核破壊(2)がほぼ同程度の高い値を示したのに対し、神経毒を用いた(3)(4)(5)は低値であり、特に6ーOHDAの使用は、移植NA神経に対し有害と思われた。 結果: 神経ネットワ-クの成長、維持、修復に重要な役割を持つと考えられる神経栄養因子研究のモデルとして、胎児青斑核NA神経細胞は成熟ラット大脳皮質内に移植可能であることが確認された。大脳皮質内の神経栄養因子を算加させる方法として、神経毒による脱神経支配は不適当であった。今後、より有効な方法を探求する予定である。
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