1992 Fiscal Year Annual Research Report
細胞融合法による小脳プルキニエ細胞株の樹立と小脳変性症研究への応用
Project/Area Number |
03670422
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
西澤 正豊 自治医科大学, 医学部, 助教授 (80198457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富永 慎一 自治医科大学, 医学部, 助教授 (70155571)
荒木 正介 自治医科大学, 医学部, 講師 (00118449)
小川 松夫 自治医科大学, 医学部, 講師 (50194452)
新島 健司 自治医科大学, 医学部, 講師 (80150613)
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Keywords | 小脳 / 細胞融合 / 神経ハイブリドーマ細胞株 / 小脳変性症 |
Research Abstract |
本研究では脊髄小脳変性症において特定の神経細胞のみが変性し、脱落する機序を解明することを目的とした。複雑なネットワークを形成している各種の神経細胞をそれぞれ純粋に、かつ生化学的な分析にも充分な量を分離することが困難であるために、その特性の解析が遅れてきたので、本研究ではある程度の分化を遂げながら、なお分裂増殖能を保持した小脳神経細胞株を樹立することを第一の目標とした。神経細胞を不死化するための方法としてはより分化した細胞株を得やすい、神経芽細胞腫との細胞融合法を用いることとした。まず、生直後のマウス小脳を採取し、神経芽細胞腫との細胞融合により神経細胞としての形質を発現している融合細胞を選択し、さらにこの中で抗GABA抗体に陽性の細胞株を得ることができた。しかしながら抗GABA抗体陽性の8種の株の中にはプルキニエ細胞に特異的と考えられるマーカーをも発現しているものは得られなかった。さらに神経細胞としての分化を誘導するために無血清刺激を加えたところ、このような培養条件の変化のみで、刺激前には発現していなかった抗tyrosine hydroxylase抗体に対する陽性反応が一部の神経細胞株に発現したことを確認した。すなわち、このような融合細胞株に発現する形質は必ずしも一定ではなく、不死化された神経細胞に発現していた形質には限られないことを明らかにした。マウスでは脊髄小脳変性症のモデルとなる遺伝性小脳変性症が知られており、本研究ではこのようなマウスから樹立された神経細胞株と正常対照の小脳から樹立された細胞を比較検討することにより、小脳の変性機序を解明することを第二の目標としたが、上記のように、融合細胞に発現している形質を比較することには疑義が生じたため、融合細胞を作成することは中止し、直接モデルマウスの小脳からcDNA libraryを作成し、現在differential hybridizationの手法により遺伝子発現の差異を比較検討している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Niijima K, Nishizawa M, et al.: "Establishment of neuronal hybridomas expressing specific neurotransmitters." Biogenic Amines.
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[Publications] Nishizawa M, Niijima K, et al.: "Production and characterization of cerebellar neuronal hybridomas." J Neurosci Res.