1991 Fiscal Year Annual Research Report
マウスを用いた筋ジストロフィ-の治療開発に関する研究
Project/Area Number |
03670426
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
栗原 照幸 東邦大学, 医学部, 教授 (80098607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 雅彦 東邦大学, 医学部, 助手 (50204847)
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Keywords | マウス / 電気的ミオトニ- / 筋細胞内記録 / ベスタチン / ジフェニルヒダントイン / メキシレチン |
Research Abstract |
Duchenne型筋ジストロフィ-及びmdxマウスでは膜の裏打ち蛋白であるジストロフィンの欠損があることが示されている。生理学的には,mdxマウスで膜電位が低下したり,電気的ミオトニ-が起ることを申請者は1990年に報告した。これらの生理学的異常を改善させる薬物を見出す治療開発の目的で、本研究を行った。 現有設備の微小電極作成報機を用いてガラス管微小電極を自作し,増幅器,オシロスコ-プ、デ-タ-レコ-ダ-を用いてmdxマウスの横隔膜標本より筋細胞内記録を行った。今回の補助金によって購入した設備備品はXーYレコ-ダ-で,dataを速やかにペン書きし記録でき、その後の計測が容易となった。 薬物としては,ベスタチン,ジフェニルヒダントィン,メキシレチンを用いて検討を加えた結果,電気的ミオトニ-はNa channelをブロックするこれら三つの薬物がみな有効であったが、低下した膜電位を改善し,かつミオトニ-も抑制する薬物はベスタチンとメキシレチンの二剤であった。 ミオトニ-の発症機序として,1)筋細胞膜のCl conducanceの低下,2)Na channelの不規則な開放,3)上記1)と2)の両方が起る場合の三つの機序が報告されている。薬物療法としては,Na channelをブロックする薬物がミオトニ-を抑制することができる。mdxマウスについては電気的ミオトニ-の他に膜電位が低下した筋線維があることから,Na又はCl channelの他にK channelの異常が示唆される。メキシレチンのようにNaとK channelの両方に効果を及ぼす薬物が,膜電位の改善とミオトニ-の抑制の両方の治効果を有することが明らかになった。
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[Publications] 栗原 照幸ほか: "mdxマウスの電気的病態と薬物治療,筋活動電位の分析,及びミオトニ-の数理的解析" 厚生省「精神・神経疾患研究委託費」筋ジストロフィ-及び関連疾患の成因と治療開発に関する研究。荒木班平成3年度報告書. (1992)
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[Publications] 日高 隆信: "mdxマウスの横隔膜標本における電気生理学的変化およびMexiletine,Diphenylhydantoinにより効果" 東邦医会誌. 38. 544-551 (1991)
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[Publications] 栗原 照幸: "myotoniaの病態生理,栗原照幸ら編「モダンコンセプト神経内科IV」" 医学書院, (1993)
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[Publications] 栗原 照幸: "先天性筋緊張症パラミオトニア,亀山 正邦,高倉 公朋編「今日の神経疾患治療指針」" 医学書院, (1992)