1991 Fiscal Year Annual Research Report
パタ-ン反転二発刺激法による網膜電図・大脳誘発電位の測定と視覚伝導障害の検出
Project/Area Number |
03670429
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
黒岩 義之 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (40135249)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 雅祥 財団法人冲中記念成人病院研究所, 研究員
小島 進 財団法人冲中記念成人病院研究所, 研究員 (10183336)
石山 陽事 財団法人冲中記念成人病院研究所, 研究員 (80151413)
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Keywords | 脱髄疾患 / パタ-ン反転刺激 / 網膜電図 / 視覚誘発電位 / 二発刺激 / 伝導ブロック |
Research Abstract |
脱髄疾患などの視覚伝導障害には(1)伝導ブロック(2)伝導遅延(3)疲労などのパタ-ンがある。潜在的な視覚伝導障害を有効に検出するためには新しい刺激法の開発が必要である。このような観点からパタ-ン反転二発刺激法を開発し,脱髄活患をはじめとする臨床例に応用するのが本研究の最終目的である。この目的を達成するために平成3年度はパタ-ン反転二発刺激法の検査プロトコ-ルを検討した。すなわちパタ-ン反転全視野単眼刺激で(a)パタ-ン反転単発刺激と(b)パタ-ン反転二発刺激を行うことにした。刺激間間隔(interーstimulus intervals)は40,60,80,100,120,140,160,18msecの8種類とした。(b)二発刺激による誘発電位Bから(a)単発刺激による誘発電位Aを差し引いた反応から二発目の刺激に対する誘発電位(X=B-A)を求めた。誘発電位としては網膜電図(ERG)と視覚大脳誘発電位(VEP)の二種類を測定した。ERGは下眼瞼に挿入したaoldーfail電極で記録,VEPは正中後頭電位ー正中前頭電位の導出で記録した。ERGの基準電極としては非刺激眼のgoldーfoil電極,対側耳朶を試みたが,後者の方が記録技術上容易であった。平成3年度前半には健康成人での記録が必ずしも技術的に満足できない状態であったが,平成3年度後半になってから記録結果が安定してきた。ERGについては二発目の刺激に対する反応(X)の潜時は単発刺激に対する反応(A)の潜時に比べて,a(p)・b(p)・c(p)いずれについても長かった。ERG(X)の振幅はERG(A)の振幅に比べて,b(p)振幅についてはX<A,c(p)振幅についてはX>Aであった。VEP(X)の潜時はVEP(A)の潜時に比べて,N75,P100,N145いずれについても長かった。VEP(X)の振幅はVEP(A)の振幅に比べて,N75振幅についてはX>A,P100振幅とN145振幅についてはX<Aであった。この観察を定性的な所見にとどめず,平成4〜5年度は定量的な分析をすすめる予定である。
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[Publications] 黒岩 義之: "網膜電図とVEP" 臨床脳波. 33. 734-742 (1991)
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[Publications] 黒岩 義之: "視覚誘発電位(VEP)" Medical Practice. 8. 260-269 (1991)
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[Publications] 黒岩 義之: "アンケ-ト調査による誘発電位計測の現況.2)視覚誘発電位" 脳波と筋電図. 19. 107-108 (1991)
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[Publications] 黒岩 義之: "視覚誘発電位。第一回誘発電位シンポジウム(下地恒毅・編)" 西村書店, (1992)
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[Publications] 黒岩 義之: "VEP。第28回日本脳波筋電図技術講習会テキスト" 日本脳波筋電図学会事務局, (1991)