1993 Fiscal Year Annual Research Report
心筋における弛緩特性,細胞内Ca^<2+>,筋小胞体Ca^<2+>-ATPase発現の相関
Project/Area Number |
03670440
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
百村 伸一 東京大学, 医学部(病), 助手 (10190985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
絹川 弘一郎 東京大学, 医学部(病), 医員
高橋 利之 東京大学, 医学部(病), 助手 (40236302)
芹澤 剛 東京大学, 医学部(病), 講師 (90143429)
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Keywords | 心筋細胞 / 心肥大 / 心筋弛緩特性 / 細胞内Ca^<2+>動態 / 筋小胞体Ca^<2+>-ATPase / Na^+-Ca^<2+>交換機構 / 電位依存性Ca^<2+>チャンネル / RNAブロット解析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、肥大心筋細胞において、細胞内Ca^<2+>動態(Ca^<2+>ハンドリング)の変化とCa^<2+>ハンドリングに関与するタンパク質の発現レベルの変化とを対比することであった。ニワトリ胚由来の培養心室筋細胞に10%牛胎児血清(FCS)を投与し(24時間あるいは48時間)、in vitroの肥大心筋モデル(蛋白含量、RNA含量、細胞表面積が25-40%増加)を作製した。Ca^<2+> indicator dyeであるindo-1を用いて測定したCa^<2+>transientに関しては、対照群に比して、肥大群においてはpeak systolic Ca^<2+>濃度は有意に低下し、拡張期の減衰速度(T1/2)は有意に延長していたが、これらの変化は筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseの阻害薬であるthapsigargin投与時の変化と類似していた。RNAブロット解析により求めた筋小胞体Ca^<2+>-ATPase mRNA並びに細胞膜のNa^+-Ca^<2+> exchanger mRNAの発現レベルはともに、肥大群において対照群の30-40%に低下しており、上述したCa^<2+> transientの減衰速度の低下にはこれらの蛋白質の発現レベルの低下が関与している可能性が示唆された。さらに、細胞外液のNa^+濃度を0とし、caffeineを投与した際の細胞内Ca^<2+>濃度低下後の定常レベルは肥大群に比して対照群の方が有意に高かったが、両者の差はverapamilの追加投与により消失した。この所見は、細胞膜Ca^<2+>-ATPaseの阻害薬であるvanadateを前投与した場合にも観察された。これらのデータより、肥大心筋細胞においては、細胞膜の電位依存性Ca^<2+>チャンネルの発現レベルも低下していることが推定された。
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[Publications] K.Kinugawa,et.al.: "Altered Ca^<2+>-handling during cellular hypertrophy in cultured chick ventricular myocytes.In The Adapted Heart." Raven Press,New York(印刷中),