1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670448
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 知行 京都大学, 医学部, 講師 (00190885)
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Keywords | 心収縮力 / 等容収縮期 / ウサギ |
Research Abstract |
【目的】心臓のポンプ機能は心筋収縮力、前負荷、後負荷、心拍数により規定される。現在まで、他の因子から独立した心筋収縮力の指標を求める研究が数多くなされてきた。申請者は、最近、正常心や肥大心の等容性収縮期に於ける内心圧ー時間関係の検討から、dP/dtとPの対数(lnP)の間に直線関係dP/dt=Aln(P/Po)が成り立つことを見い出した。PoはdP/dt=0時のPすなわち理論上の拡張終期圧であり、Aはこの直線関係を定数である。本研究の目的は、種々の心収縮力状態における定数AーPo関係の基礎的検討することである。【方法】ウサギのランゲンドルフ潅流心を用いて実験を行なった。僧帽弁口から左心室にラテックスバル-ンを挿入し、生理食塩水の注入による等容性収縮と、マイクロマノメタ-を用いたhigh fidelityの心内圧の測定した。大動脈を通じた冠動脈の潅流液にdobutamine2ー10mg/kg/minを投与することにより、心収縮力を増加させた。また、潅流液の酸素濃度を低下させ心収縮力を低下させた。各々の心収縮力状態でバル-ンの拡張により拡張終期圧を変化させAーPo関係を検討した。 【結果】この実験系において、いずれの状態においても、dP/dtとlnPの間にはr=0.93ー0.99のきわめて良好な直線関係がえられ、DP/dt=Aln(P/Po)が成立することが確認された。ある一定の心収縮力状態において、拡張終期圧したがってPoの上昇に伴い、Aも増加して、Aはそれ自身では独立した心収縮力の指標になりえないことが判った。一方、AーPo関係はPoの上昇に伴うゆるやかな上に凸の曲線関係で、この曲線関係は心収縮力の増加により左上方への移動が、心収縮力の低下により右下方への移動がみられた。AーPo関係の検討により後負荷に影響されない等容性収縮期心収縮力の評価が可能であると思われる。
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