1991 Fiscal Year Annual Research Report
延髄腹外側部の神経作動物質の動態に対するアンジオテンシンIIの影響
Project/Area Number |
03670451
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三上 洋 大阪大学, 医学部, 助教授 (80173996)
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Keywords | 延髄腹外側部 / アンジオテンシンII / 脳マイクロダイアリシス法 / グルタミン / グリシン |
Research Abstract |
スウェ-デンのUngerstedtらのグル-プによって開発された脳マイクロダイアリシス法は、in vivoの状態で脳内神経伝達物質の動態を定量的に測定したり、逆に脳内への特定の物質を選択的に注入し得る方法である。本研究では、この方法を用いて微量の変換酵素阻害薬投与による血圧・心拍数・延髄腹外側部の神経伝達物質の放出の時間的変化を、ほぼ同等の降圧を来すニトログリセリンと比較し、変換酵素阻害薬による降圧時の特徴を検討した。 変換酵素阻害薬による降圧による反射性の頻脈はニトログリセリンによるものより幅は小さく、延髄腹外側部のグルタミン酸放出量の減少が認められが、ニトログリセリンの投与ではこのような減少は認められない。変換酵素阻害薬による血圧下降が消失する程度の非昇圧量のアンジオテンシンIIの持続的補充下では、グルタミン酸放出が対照に近づく事から、グルタミン酸の減少は変換酵素阻害薬によるアンジオテンシンIIの減少に依存すると考えられる。グリシン放出は変換酵素阻害薬単独投与時には不変であり、ニトログリセリン投与時にのみ見られることから、グリシンの変化はアンジオテンシンII以外の未知の機構により引き起こされているものと考えられた。次に、グルタミン酸を延髄腹外側部でダイアリシス法により生理的な量で補充すると、血圧の原値への復帰が促進され、しかも、この際脈拍数が増加して高値に固定した。このようにグルタミン酸の補充は血圧よりも脈拍数の増加が著しい。一方グリシンの補充により、変換酵素阻害薬の降圧効果が減弱された。心拍数に関してはグリシン併用では変換酵素阻害薬単独とほとんど差が無く、グリシンは血圧に大きく影響を与えることが判明した。 本年度は、変換酵素阻害薬による延髄外側部のアミノ酸性の神経伝達物質の動態にこの様な差の見られることを示した。
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Research Products
(1 results)