1992 Fiscal Year Annual Research Report
延髄腹外側部の神経作動物質の動態に対するアンジオテンシンIIの影響
Project/Area Number |
03670451
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三上 洋 大阪大学, 医学部, 助教授 (80173996)
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Keywords | 延髄腹外側部 / アンジオテンシンII / 脳マイクロダイアリシス法 / グルタミン酸 / グリシン / 圧受容体反射 |
Research Abstract |
スウェーデンのUngerstedtらのグループによって開発された脳マイクロダイアリシス法は、in vivoの状態で脳内神経伝達物質の動態を定量的に測定し、逆に脳内へ特定の物質を選択的に注入し得る方法である。本研究では、この方法を用いて昇圧閾値以下のアンジオテンシンII持続静注によって惹起される圧受容体反射感受性変化と吻側延髄腹外側部の神経伝達物質の放出の時間的変化との関連について検討した。 昇圧閾値以下のアンジオテンシンII(5.4pmoI/kg/min)の120分にわたる持続静注の前後で、2-40μg/kgのフェニレフリンの静注による昇圧を観察し、昇圧と心拍数の変化との間の回帰直線の傾きを圧受容体反射の指標とした。アンジオテンシンIIは圧受容体反射の感受性を有意に抑制した。この抑制に伴って、吻側延髄腹外側部からのアミノ酸性神経伝達物質であるグルタミン酸(+60%)とグリシン(+40%)の有意な放出増加が認められた。しかし、グルタミン、タウリン、γ-アミノ酪酸などの放出には変化は認められなかった。同部へグリシンを外因性に補充することにより、アンジオテンシンIIを持続静注下に見られたと同程度の圧受容体反射の減弱が認められた。これらの事は、グリシンやグルタミン酸が吻側延髄腹外側部を中心とする心脈管系の制御機構において重要な役割を果していることを示唆している。特に、アンジオテンシンII静注によるグリシンの延髄腹外側部からの放出抑制は、アンジオテンシンIIの圧受容体反射の抑制作用の根底をなしていることをも示唆している。さらに、アンジオテンシンIIの圧受容体反射への影響は、我々の昨年の報告で、経静脈投与された変換酵素阻害薬により、延髄腹外側部のグリシン、グルタミン酸などのアミノ酸性神経伝達物質の放出の変化がみられたことと総合して考察すると、アンジオテンシンIIの作用が中枢性の機序を介していることをさらに支持する結果である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Mikami,N.Okuda,K.Kohara et al.: "Identification of amino acids release from the ventrolateral medulla by brain microdialysis method in vivo." Therapeutic Research. (1993)
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[Publications] H.Mikami,R.Morishita et al.: "Role of tissue renin-angiotensin system in two-kidney,One-clip hypertensive rats." Am.J.Physiol.(1993)
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[Publications] H.Mikami,R.Morishita et al.: "Discrepancy between renin mRNA and plasma renin level in angiotensin converting enzyme inhibitor treated rats." Clin.Exp.Pharmacel.Physiol.(1993)