1991 Fiscal Year Annual Research Report
閾値以下電気刺激による不応期延長と不整脈抵制効果についての研究ー麻酔開胸犬における刺激電極遠隔部位での検討
Project/Area Number |
03670462
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加世田 俊一 九州大学, 医学部, 助手 (80177386)
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Keywords | 閾値下刺激 / 不応期 / 不整脈 / 心室頻拍 |
Research Abstract |
【方法】 14頭の雑種成犬を用い、静脈麻酔・人工呼吸下に胸骨正中切開し心臓を露出した。閾値下刺激用電極として1.25cm^2の表面積を持つ除細動用カテ-テル電極(心腔内挿入)、または約3×5cmのパッチ電極(心表面に接着)を用いた。円盤電極を腹壁皮下に埋め込み、また不応期測定用電極を心筋に刺入した。2台のプログラム刺激装置を連動させ、閾値以下電気刺激と不応期長測定のための電気刺激(S1,S2)に用いた。不応期長は1msecの単位まで測定した。 単発閾値下刺激(Sc)は2msec幅とし、S1Sc時間は不応期長より10msec短い値とした。 連続閾値下刺激(TSc)は1msecの休止期をはさんで2msecの刺激を反復する333Hzのものとした。一部の犬では2または28msecの刺激幅を持つ33HzのTScについても実験した。TScは最後のS1の75msec後から不応期の終了までの間で実験を開始し、最初に自発収縮を生じる時点まで延長し、S2はTScの終了時点においた。 4頭の犬ではパッチ電極値下の心筋にaconitineを注入して心室頻拍を誘発し、TScによる心室頻拍停止の有無を観察した。 【結果】 ScやTScの通電のための電極として次の4種の組合せを用いた。1群:心表面パッチ電極を陰極、腹壁皮下電極を陽極。2群:心表面パッチ電極を陰極、カテ-テル電極を陽極。3群:左室前壁・後壁に装着した2枚のパッチ電極を陽極・陰極とする。4群:2群の電極を陰極・陽極逆にした組合せ。 以上の組合せを延べ14頭で実験したが、1,3,4群では抑制がみられず、第2群の組合せ(すなわちパッチ電極を陰極、心内腔のカテ-テル電極を陽極)のみでTScによるS2の抑制が7頭中2頭で見られた。ただし、抑制の見られた不応期測定部位はTSc用の電極の近傍に限局し、かつTScによる不応期延長も5msec以下と僅かであった。TScによる心室頻拍の停止は見られなかった。
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[Publications] 加世田 俊一: "心機能低下:リスク予知と緊急処置" 総合臨床. 40. 2670-2674 (1991)
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[Publications] 加世田 俊一: "Torsades de pointesと血中マグネシウム" 臨床検査. 36. 102-104 (1992)
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[Publications] 仲里 政泰: "冠動脈病変の非侵襲的検出法に関する研究" 琉球医学会雑誌. 12. 74-91 (1991)
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[Publications] 加世田 俊一(分担): "不整脈トピックス1991年度版" メジカルレビュ-社, 10 (1991)
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[Publications] 加世田 俊一(分担): "新心臓病学" 医学書院,