1991 Fiscal Year Annual Research Report
中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症の分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
03670475
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松原 洋一 東北大学, 医学部病態代謝学, 助教授 (00209602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 仁司 東北大学, 医学部病態代謝学, 学術振興会特別研究員 (50221817)
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Keywords | 中鎖アシルCoA脱水素酵素 / 脂肪酸代謝 / 先天代謝異常 / 乳児突然死症候群 / DNA診断 / マススクリ-ニング |
Research Abstract |
中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症は,その臨床像がライ症候群や乳児突然死症候群に酷似する脂肪酸代謝異常症である。これまでに、本研究代表者によって、MCAD欠損症の90%を占める遺伝子変異(K329E変更)が明らかにされた。今年度の研究により、さらにこの遺伝子変異は、MCAD遺伝子の制限酵素消化断片長多型(RFLP)のハプロタイプ1型と連鎖していることが判明した。このことより、K329E変異は創始者効果によって欧米白人に伝幡した可能性が高いと考えられた。 次にわれわれは、英国、米国、オ-ストラリア、日本のマススクリ-ニング施設より得られた乾燥瀘紙血を用いて一般新生児におけるK329E変異の保因者頻度調査を行った。その結果、英、米、豪の新生児計1368人から、22人の保因者が同定されたが、日本人新生児500人には、この変異は認められなかった。今回の検索によれば、MCAD欠損症のK329E変異の保因者頻度は英国では40人に1人、米国では100人に1人、オ-ストラリアでは70人に1人で、平均すると60人に1人と推定される。本症は常染色体劣性遺伝形式をとるため、その患者頻度は約1万5千人に1人と考えられる。これは,現在新生児マススクリ-ニングの対象と成っている種々の代謝異常症の頻度に匹敵する数字である。MCAD欠損症は,早期発見と適切な食事療法が、患者を不幸な転帰から予防するために重要である。従って、将来、英・米・豪において新生児マススクリ-ニングにMCAD欠損症を組みこむことが必要だと考えられる。またそのためには、マススクリ-ニングに適した、K329E変異のDNA診断法の開発が必須であろう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Matsubara,et al.: "Prevalence of K329E mutation in mediumーchain acyーCoA dehydrogenase gene determined from Guthrie cards." Lancet. 338. 552-553 (1991)
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[Publications] Y.Matsubara,et al.: "Mediumーchain acylーCoA dehydrogenase deficiency molecular aspects" European Journal of Pediatrics. (1991)
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[Publications] 松原 洋一: "中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症" 小児内科. 23. 1699-1702 (1991)