1992 Fiscal Year Annual Research Report
PCR法を用いたC型肝炎ウイルスの母児感染に関する研究
Project/Area Number |
03670478
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
須磨崎 亮 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40163050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝田 齊 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30013957)
柴崎 正修 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30049233)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 母児感染 / polymerase chain reaction / 感染経路 / 母乳感染 |
Research Abstract |
1.PCR法によるHCV-RNA検出法の確立 5'末端の非翻訳領域とNS-3領域の2領域を用いてPCR法を確立した。前者では塩基配列が極めて良く保存されており、PCRの検出感度がよかった。後者ではHCVーRNAの塩基配列に変化をきたしやすい領域が含まれており、分子疫学的手法の利用が可能であることが明らかになった。 2.小児HCV感染症の診断法の改善 肝障害児74名の経時的血清を多角的に分析した結果、第一世代の抗体(C100-3抗体)にはいくつかの問題点があること、一方、ウイルスコア蛋白に対する抗体を含んだ第二世代の抗体の検出とPCR法がよく相関し、両者が小児C型感染症の診断に有用であることがわかった。 3.小児HCV感染症の感染経路の解明 小児でHCV感染症と診断された症例の90%が輸血あるいは血液製剤投与による感染、残りの輸血歴のない全症例では家族内にHCV感染者が存在することが判明した。小児では成人に比較して、感染経路が全く不明のHCV感染はかなり少ないと推測された。 4.母児感染の頻度とその感染経路 C型肝炎の母親10名とその児19名についてC型肝炎ウイルスマーカーの検索を行ったところ、19名の児のうち1名の血清中に第1・2世代抗体及びHCVーRNAが持続的に検出され、他に感染の機会がないことから母児感染と推定された。他の児では生後6-12か月まで抗体のみが検出されたが、同検体中にHCVーRNAは検出されず移行抗体と思われた。 5.HCV感染者の体液中のHCVーRNA検出 HCV感染者の血清、唾液、母乳、ちつ分泌液からPCR法によるHCVーRNAを半定量的検出を試みたところ、HCV感染母4名中2名の唾液から血清の10^<-3>量のHCVーRNAが検出されたが、母乳中からは検出されなかった。
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[Publications] 須磨崎 亮: "非B型肝炎の診断・治療・予防" 東京小児科医会報. 10. 15-20 (1991)
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[Publications] 松原 香子 他: "EIA法によるC100-3抗体検査の問題点" 小児内科. 24. 1757-1757 (1992)
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[Publications] 松原 香子 他: "小児慢性肝炎におけるC型肝炎ウィルスの関与について" 日本小児栄養消化器病学会雑誌. 6. 80-80 (1992)
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[Publications] T.Matsubara et al: "Low Prevaleuce of HCV infection among nonーfransfusion cases in Children with Chronic nouーA nonーB hcpatitis." Jourual of Pediatric Gastroenterology and Nutrition.