1992 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシゾーム病のモデル系における膜流動性変化について
Project/Area Number |
03670482
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鴨下 重彦 東京大学, 医学部(病), 教授 (60048973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 真木子 東京大学, 医学部(病), 助手 (20225733)
榊原 洋一 東京大学, 医学部(病), 講師 (10143463)
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Keywords | C-6グリア細胞 / チオリダジン / 膜流動性 |
Research Abstract |
C-6グリア細胞にチオリダジンを加えDPHをプローブとした蛍光偏光度を測定し以下の結果を得た。37℃では血清(+)の対照で偏光度は191±4(×1000)、無血清培地では189±2(×1000)、チオリダジン濃度を10、20、40μMとなるように加えた培地では各々、174±2,169±4,166±3(×1000)と、チオリダジンを加えることにより、蛍光偏光度の減少、即ち膜流動性の増加が認められた。次に、この膜流動性変化に対する温度の影響を調べた。25℃では、対照、無血清、チオリダジン濃度10、20、40μMの各培地で培養した細胞の偏光度は、順に238±4,199±4,200±6,207±4,209±2であった。15℃では各々260±2,226±3,231±3227±3,226±3となり、これらの温度では、チオリダジン添加の影響よりも、無血清培地での培養による何らかの膜変化の方が大きいことが推察された。チオリダジンは、ペルオキシゾームのβー酸化阻害剤であり、膜中の極長鎖脂肪酸の増加を引き起こすが、脂肪酸の炭素数の増加は、一般に膜流動性を減少させる。今回の結果では、膜の流動性は増加しており、今後更に、膜中のリン脂質とコレステロールの含量比や、極長鎖脂肪酸が、リン脂質、或はコレステロールエステル中にどのように分布しているかについて検討する予定である。 チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のDPHに る膜流動性の測定を、C-6グリア細胞と同様の方法で行ない、温度変化による偏光度変化を測定した。27℃付近に相転移温度が認められた。Zellweger病のモデルとして報告されている変異株が入手できれば、野性株との比較を行なう予定である。
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