1992 Fiscal Year Annual Research Report
肺における間質圧と肺サーファクタントとの相互関連に関する研究
Project/Area Number |
03670511
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Research Institution | TOHO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
宇賀 直樹 東邦大学, 医学部, 助教授 (90114040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若江 恵利子 東邦大学, 医学部, 助手 (20220824)
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Keywords | 肺浮腫 / 肺サーファクタント / バゾプレッシン / 気管支肺異形成症 / ステトロイドホルモン |
Research Abstract |
ラットを用い心肺独立循環モデルによる実験では正常肺において肺静脈圧の変化は肺重量、肺コンプライアンスにはほとんど影響は認められなかった。一方肺洗浄後の肺では肺静脈圧の上昇にともない肺重量は著明に増加し肺コンプライアンスは低下した。このことより肺サーファクタント欠乏は肺静脈圧上昇による肺浮腫を起こし易くするものと考えられた。 多変量解析を用いた未熟児慢性呼吸障害における抗利尿ホルモン(AVP)分泌に有意に相関した因子は在胎週数、早朝8時間内に発生した徐脈頻度、尿中ナトリウム濃度、尿浸透圧、体重1Kgあたりの1日尿量、体重1Kgあたり一日水分摂取量、体重の出生体重比などであった。在胎週数、体重の出生体重比、一日尿量ははAVPと負の相関が見られた。在胎週数と負の相関が見られた事は、児が未熟であればあるほどAVP分泌が多い事を示唆している。他の因子は正の相関が見られ朝8時間の徐脈頻度が多ければ多いほどAVP分泌が多いことを示して興味深い。人工呼吸器を使用した児のみについて同様に多変量解析をした結果では相関係数が高く有意差のあるものは在胎週数が負の相関が全体の時と同様みられさらにPIP、深夜の徐脈頻度とも相関が見られた。 以上の結果をもとにデキサメサゾン投与が抗利尿ホルモンを介し身体から水分が排泄されている可能性があるものと仮説し以下の実験を行った。長期に呼吸管理されている超未熟児8例を対象とし、換気条件が下げられない時にデキサメサゾン0.5MG/kGを静脈内投与し投与前の血中AVP濃度、尿中AVP濃度を測定した。AVP測定はRIA2抗体法を用い測定した。投与前後の血中および尿中AVP濃度の多くは減少し、投与前の血中AVP濃度の平均±1SDは4.1±4.1であり投与後のそれは2.3±1.3であった。 次に抗利尿ホルモンそのものが肺血管の透過性に変化をおよぼすか否かを独立心肺循環モデルを用い検討した。結果はコントロール群の血管透過性の値と比較してAVPを還流液に加えたStudy群の方が高い血管透過性をしめしAVPそのものが肺血管透過性をたかめ肺浮腫を引き起こしている可能性が示唆された。
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