1991 Fiscal Year Annual Research Report
小児期の各種病態を活性酸素の係わりについてー特に新生児仮死とホモシスチン尿症において
Project/Area Number |
03670513
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
荻原 享 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00211128)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美濃 真 大阪医科大学, 医学部, 教授 (70090206)
北川 真 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70175298)
|
Keywords | 新生児仮死 / フリ-ラジカル / ホモシスチン尿症 / 酸化変性LDL / ビタミンE |
Research Abstract |
虚血と再潅流にともなうフリ-ラジカルが関与する病態、新生児仮死では虚血低酸素状態に応じてfreeradical scavengerである血清ascorbateおよびurateの消耗を呈し、それは血清の綜合抗酸化能(TRAP)の低下としても認められた。血中過酸化脂質の生成を示すひとつの指標であるTBA反応物質の増加こそ確認出来なかったが、これら血中の抗酸化剤の低下は仮死においてラジカルが生じていることの間接証明になりうると思われる。またuricaseを進化の過程で喪失した人類ではurateからのallantoinの生成はurateのラジカル反応生成物と考えられ、この測定はさらなる証拠として意義あるもので現在進行中である。 ホモシスチン尿症における高濃度の血清ホモシステインは遷移金属の存在のもとで活性酸素を生成することが考えられ、このため生じる酸化変性LDLが早期動脈硬化発現の一因となる我々は提唱している。そこで試験管内実験をおこない以下の結果を得た。微量の鉄の存在下でホモシステインの酸化にともない溶存酸素の一電子還元によってsuperoxideの生成を認めた。それによってLDLは酸化され、高度不飽和脂肪酸の減少、TBA反応物質の生成、電気泳動上の移動度の変化、およびアポB蛋白の分断などを認めた。これらの変性はLDL中の有力な抗酸化剤であるビタミンEによって抑制された。さらに臨床例において血漿αーtocopherolの低値とLDLの電気泳動上の移動度の変化を認めたことは、試験管内での現象が実際起こり得ることを示唆しておりビタミンEの動脈硬化発現の抑制効果が期待される。
|