1991 Fiscal Year Annual Research Report
逆流性腎症における糸球体硬化機序とその早期発見、治療法に関する研究
Project/Area Number |
03670515
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
和田 博義 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80018358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 益治 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50164869)
谷澤 隆邦 兵庫医科大学, 医学部, 助教授 (10126534)
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Keywords | 逆流性腎症 / 巣状糸球体硬化症 / 慢性腎不全 / 蛋白尿 / 糸球体肥大 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
平成3年度は既に保存されている逆流性腎生検症腎組識を対象に研究を進めた結果,以下の成績を得た. 1.非可逆性進行性病変である糸球体硬化病変(巣状分節性硬化:3/13例,巣状球状硬化:4/13例)を高率に認めた.従来,発見率が低いとされる巣状分節性硬化は連続切片による検索を併用する事により見逃しを軽減できた. 2.画像解析装置を用いて,微少変化糸球体のサイズ(ボウマン腔面積,糸球体係蹄面積)を計測し、同一年齢対照小児腎糸球体サイズ(微小血尿,微少変化型ネフロ-ゼ症候群)と比較するとネフロン数減少による残存糸球体への過剰負荷による,あるいは,未確認の成長因子による糸球体肥大化現象の存在を定量的に証明した.ボウマン腔面積/糸球体係蹄面積比は対照群に比して,有意に低いことから糸球体高血圧を反映するのではないかと考えられる. 3.硬化病変形成に関与する細胞外基質(とくにIII,V型コラ-ゲン)の糸球体硬化部やボウマン氏襄との癒着部に存在することを免疫染色にて確認した.これらの産生亢進を刺激・調節する因子に関する検討は今後の課題である. 4.尿蛋白分析(高速液体クロマトグラフィ-,SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法,セルロ-スアセテ-ト膜電気泳動法)の結果、糸球体硬化病変の形成例では糸球性蛋白尿であるアルブミンや高分子蛋白(γグロブリン)の排泄が増加し,間質病変の進行例では尿細管性蛋白尿(低分子蛋白尿)の排泄増が認められた.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 谷澤 隆邦: "逆流性腎症小児17症例の臨床,腎病理組織像ー糸球体硬化促進因子としての糸球体肥大の関与ー" 日本小児科学会雑誌. 93. 1126-1133 (1989)
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[Publications] 谷澤 隆邦: "逆流性腎症" 小児医学. 23. 901-915 (1990)
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[Publications] T.TANIZAWA: "Reflux nephropthy and glomerular sclerosis:Glomerular hypertrophy as a possible result of remnant glomerular hyperperfusion and hypertension" Acta Medica et Biologica(Niigata). 38,Suppl. 93-106 (1990)