1993 Fiscal Year Annual Research Report
脱感作療法による接触皮膚炎の抑制機序の解析と臨床応用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03670521
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
片山 一朗 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (80191980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 剛 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (50239050)
横関 博雄 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (90210608)
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Keywords | 接触皮膚炎 / ハプテンアミノ酸 / 脱感作 / マクロファージ / ランゲルハンス細胞 / クラス2抗原 / 細胞接着因子 / マスト細胞 |
Research Abstract |
昨年度までの成果としてTNP-Lysineの皮下投与によりBALB/Cマウスにおいて、抗原特異的な接触皮膚炎の抑制する系を確立することができた。この実験系においては従来考えられていたような抗原特異的な抑制性T細胞は証明できず、その抑制機序としてT細胞Anergyが考えられた。本年度はその機序をさらに詳細に検討する目的で、抗Thy1.2抗体、抗Macl抗体、抗Ia抗体などの特異抗体、ナイロンウールカラム、プラスチックシャーレを用いて感作リンパ節細胞をそれぞれT、B、Moに分画し、それぞれにTNP-Lysineを作用させたあと細胞を再構成し、その^3H-TdRの取り込みを検討した。その際リンパ節細胞中のMoがTNP-lysineにたいし感受性を示した。昨年度の検討においてTNP-BSA結合ヒツジ赤血球と感作リンパ節細胞とのロゼット形成に対しては、TNP-Lysineは用量依存性に感作リンパ節細胞のロゼット形成を阻害した点よりTNP-LysineはT細胞レセプターレベルでその阻害作用を示すとともに、Moを介することによっても抗原特異的なTリンパ球の分裂を阻害することにより、接触過敏反応を抑制するものと考えられ、二つの異なる機序が存在するものと考えられた。近年抗原提示細胞上のClass I.II抗原にはPeptide binding grooveと呼ばれる立体構造が存在し、アミノ酸8個程度よりなるペプチド抗原がその溝に結合することによりT細胞を活性化しうるシグナルとなり、その配列、アミノ酸が一つでも異なれば逆にT細胞Anergyが誘導されることが示されている。現在TNP-Lysineも同様の機序でT細胞を不活性化している可能性が考えられ、ランゲルハンス細胞のIa抗原と表皮由来TNP結合蛋白を用いその機序を検討している。なおあわせて検討中である表皮細胞を標的とした細胞接着因子、ランゲルハンス細胞を介する接触皮膚炎の抑制に成果が得られており、継続して検討する予定である。
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[Publications] 横関博雄、片山一朗、西岡清: "ニッケルに陽性反応を呈した汗疱" 皮膚診療. 15. 511-514 (1993)
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[Publications] Yokozeki H,Katayama I,Nishioka K,Kinoshita M&Nishiyama S.: "The role of metal allergy and local hyperhidrosis in the pathogenesis of pompholyx" J Dermatol.19. 964-967 (1993)
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[Publications] Katayama I,Yokozeki H&Nishioka K: "Induction and characterization of mast cell colonies byculture supernatant of retinoic acid treated mouse keratinocytes." Int Arch Allergy Immunol.100. 328-332 (1993)
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[Publications] 横関博雄、片山一朗、西岡清、西山茂夫: "歯科金属が原因と考えられた異汗性湿疹の5例" 日皮会誌. 103. 649-654 (1993)
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[Publications] 横関博雄、片山一朗、西岡清、西山茂夫: "ハプテン結合Pam細胞を用いたIn vitroでのエフェクターTリンパ球の誘導" 日皮会誌. 103. 493-499 (1993)
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[Publications] Sato T,Yokozeki H,Katayama I,Nishioka K: "Down regulation of murine contact sensitivity by hapten amino acid derivatives" Int Arch Allerg Immunol. 102. 94-100 (1993)