Research Abstract |
マウス接触過敏症におけるγδT細胞の役割を解析するために,その数の変動とVγ,Vδレパ-トリ-を決定することを目的として実験を行った。接触過敏症において主たる役割をもつ抗原特異的なeffectorT細胞はαβ型であるが,その初期段階におけるγδT細胞の役割はまだ知られていない。 マウス接触過敏症の系は通常のTNCB,DNCB,FITCの系を用いた。Induction phaseにおいてはその所属リンパ節を継時的に抗原塗布後0,12,24,48時間後に採取し,TCRγδ抗体(UC7ー13D5,GL3)を用いて染色し,FACSにてγδT細胞数を算定した。また同時にmRNAを調整後,Cγ,Cδのプライマ-を用いて逆転写酵素によりcDNAを作製し,各種Vγ,Vδのプライマ-を用いてPCRを行い,Southern blotによりVγ,Vδのレパ-トリ-の決定を行った。またEffector phaseにおいてはハプテン塗布後の耳介皮膚(1回の実験あたり各ハプテン10匹ずつ)を0,6,12,24時間後に採取,リンパ節と同様の方法でVγ,Vδレパ-トリ-の決定を行った。 Induction phaseのリンパ節のリンパ球数のなかにしめるγδT細胞は1〜3%で継時的な変動は認められなかった。またVγ,Vδのレパ-トリ-はVγ1,2,4,7,Vδ1,2,4,5,7であり,これも正常対照群との差異は認められなかった。Effector phaseの皮膚浸潤細胞のPCRの結果では,0,6,12,24時間後ともVγ1,5,Vδ1,2,5,6,7が認められ,特に変化は認められなかった。Thyー1^+樹枝状表皮細胞数にも変化がなく,PCR法でもVγ_5,Vδ_1細胞が認められた。これらの結果を総合すると,マウス接触過敏症においてはInduction phase,Effector phaseとも特定のγδT細胞の関与は否定的である。ただし今回のわれわれの解析はVγ,Vδレパ-トリ-をPCR法にて定性的に行ったが,今後より定量的に解析することが必要と思われる。さらに各種Vγ,Vδ領域に対するモノクロ-ナル抗体の開発により,さらに詳細に解析していく予定である。
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