1992 Fiscal Year Annual Research Report
各型コラーゲンC-DNAを用いた各種皮膚疾患におけるコラーゲン産生細胞の態度
Project/Area Number |
03670528
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
石井 正光 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (70117927)
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Keywords | 表皮角化細胞 / IV型コラーゲン / リジルオキシダーゼ / 創傷治癒 / m-RNA / c-DNA |
Research Abstract |
昨年度にひきつづき細胞培養系における遺伝子発現を検索する作業を続けるとともに病的状態ではラットを用いた創傷治癒のモデル実験においてコラーゲン産生の細胞レベルでの状態を遺伝子レベルにおいて検討することとした。 創傷治癒モデルにおいては各型コラーゲンの形成に深く関与する酵素であり、コラーゲン分子、エラスチン分子の架橋形成初期に働くリジル-オキシダーゼの遺伝子発現を優先して検索し、コラーゲン遺伝子発現との関わり合いを次の段階で検索していくこととした。 基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンの、表皮角化細胞における遺伝子発現をinvitroで検索した。正常ヒト角化細胞(NHEK)を、ヒト-下垂体抽出物添加MCDB変培地(0.15mM-カルシウム濃度)にて培養し、confluent(a群)およびsubconfluent(b群)の状態でRNAを採取し、Northern blottingを行った。Subconfluentの状態では2.1kbのサイズのバンドを著明にみとめるが、confluentの状態では抑制されてほとんど発現していない。この結果より以下の事が判った。すなわち(1)IV型コラーゲンの遺伝子は正常のヒト表皮角化細胞で発現している。(2)confluentの状態では何らかの原因(細胞間のinteractionなど)により、その発現が抑制される。次にラットを用いた実験で真皮全層レベルでの開放創を作製し、受傷後1,4,7日迄の治癒過程において皮膚を採取しRNAを抽出、リジルオキシダーゼC-DNAを用いてNorthern blotting及びin situ hybridizationを行い次の結果を得た。リジルオキシダーゼmRNAの発現量は受傷後4日目でピークを示し、7日目ではコントロールレベルに復帰した。in situ hybridizationでは肉芽組織周辺のfibroblastと思われる細胞に一致して陽性所見を示した。これらを参照しつつ現在各型コラーゲンmRNAの発現について検討中である。
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