Research Abstract |
CEAを産生するヒト大腸癌細胞,MKN45を用いて以下のような結果を得た。(1),インタ-フェロン(IFW)を細胞に作用させると,細胞表面のCEA発現が増感し,細胞内のCEA含量も増加し,さらに,細胞上清中のCEA濃度も上昇した。(2),細胞を植えたヌ-ドマウスに,IFNを投与すると,腫瘍組織中のCEA含量は増加し,血中のCEA濃度も上昇した。(3),IFN投与後に,Iー125標識抗CEA抗体を投与すると,Iー125の腫瘍集積量が増加した。(4),IFN投与後に,Inー111標識抗体を投与すると,Inー111の腫瘍集積量が増加したが,この事は,IFNの投与計画に大きく左右された。 即ち,IFNを長期にわたって,投与し続けると,腫瘍中のCEA含量は増加したが,血中のCEA濃度も上昇したため,投与抗体と複合体を形成し,肝臓,脾臓へのInー111非特異的集積が増し,腫瘍への抗体集積量は変化しなかった。一方,適宜な期間,IFNを投与すると,血中CEA濃度は大きく増加せず,Inー111の腫瘍集積量が増加した。さらにInー111の血中クリアランスが速まり,肝臓,脾臓への非特異的集積も低下した。高速液体クロマトグラフィにて腫瘍,肝臓組織のホモジネ-トを検討したところ,抗体の代謝がIFNの投与によって早くなっている事が推測された。この事は,Iー125標識抗体の場合には認められなかった。 以上,IFNの作用については,ほぼ検討を終了し,減在,インタ-ロイキンー2の作用について,同様の検討を進めている。
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