1992 Fiscal Year Annual Research Report
血管作用物質による癌の湯熱効果増強に関する基礎・臨床的研究
Project/Area Number |
03670553
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
宇田 光伸 関西医科大学, 医学部, 助手 (00223545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 敬正 関西医科大学, 医学部, 教授 (40131445)
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Keywords | Hydralazine / 温熱効果 / 実験腫瘍 |
Research Abstract |
温熱療法時に血管作動性物質であるHydralazine(以下Hyd.)を併用し、血流を修飾することで腫瘍部の選択的加温の方法を試みた。本剤を投与することで正常部の血流を増加し、腫瘍部の血流は相対的にする(Stealing Effects)。温熱時に本剤を併用することで腫瘍部の選択的温度上昇が期待できる。実験腫瘍を用いてHyd.の温熱併用時の抗腫瘍効果の増強についてこの投与量、投与時期、この増強効果の程度について報告する。 実験方法:実験腫瘍は、C_3H/Heマウス(雄4-6週令)に移植可能な2種類のFM3AおよびSCC-VIIを用いた。このHyd.を生理食塩水にて各々の実験直前に溶解し腹腔内の注入した。 結果:SCC-VII腫瘍における(1)対照群、(2)加温単独群、(3)HYD.5mg/kg投与下加温群(43℃20分間加温)の3群での腫瘍成長遅延日数でEnhancement ratio(E.R.)をみると加温単独群を1としたE.R.は1.27の遅延がみられ、Hyd.での温熱増感効果が認められた。加温時間を一定(43℃,20分間加温)にしてHyd.の投与量を変化(1mg/kg,2.5mg/kg,5mg/kg,7.5mg/kg)させた時は加温単独群では6.52±0.82日、Hyd.1mg/kg投与後加温群では7.14±0.90日、Hyd.2.5mg/kg投与下加温群では8.5±0.98日、Hyd.5mg/kg投与下加温群では9.72±0.92日、Hyd.7.5mg/kg投与下加温群では9.84±1.3日であり、Hyd.の投与量の1mg/kgから5mg/kgまでは投与量の増加にしたがって成長遅延日数の増加を認めた。温熱量(加温時間)の増加(10分,20分,30分)に従って、加温単独群では5.5±0.7日,6.52±0.8日,8.85±1.2日と遅延を認めるが、Hyd.投与下加温群ではそれぞれ8.31±0.7日,9.72±0.92日,10.54±1.3日と増加を示した。温熱量に対してもHyd.の投与下では成長遅延日数の増加が認められ、Dose modifying factor(D.M.F.)は2.6でありHYD.の温熱療法に対する増感効果が得られた。又、臨床での研究は現在進行中で、その結果は来年度にまとめる。
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