1992 Fiscal Year Annual Research Report
不登校を示す持続性睡眠・覚醒リズム障害発現の頻度とその要因
Project/Area Number |
03670561
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 龍朗 名古屋大学, 医学部, 講師 (00109323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 雄一郎 名古屋大学, 医学部, 講師 (80135334)
岡田 保 名古屋大学, 医療技術短期大学部, 教授 (00023771)
粥川 裕平 名古屋大学, 医学部, 助手 (20214570)
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Keywords | 不登校(登校拒否) / 持続性睡眠・覚醒リズム障害 / 睡眠相後退症候群 / 非24時間睡眠覚醒症候群 / 深部体温(直腸温) / 睡眠ポリグラム / 発現頻度 / 思春期・青年期 |
Research Abstract |
思春期・青年期における不登校・登校拒否状態あるいは学業不振を示すもののうち、睡眠・覚醒リズムの障害が主たる原因をなすものの有病率または罹患率を調べ、これらの発症要因を追求する目的で、日米共同の研究が可能となるような調査表を昨年度に作製したが、本調査への協力がより得られやすいようになるためには、治療効果に関する資料が必要と考えられた。これまでの臨床経験から、早期に治療や対策を講じた場合その予後が比較的良いとの推察に基いて、治療的に深く関わり得た症例について、予備的な予後調査を実施することとした。 研究代表者および分担者が所属する研究機関の附属病院および関連病院で治療と経過の観察が充分に行われた症例を選択し、事前に了解を得たうえでアンケートを送り、現時点での睡眠覚醒行動と社会適応を中心にした回答を求めた。その結果,睡眠相後退症候群7例、非24時間睡眠覚醒症候群3例、計10例から回答が得られたが、その平均追跡期間は3.9年(最長11年2ヵ月、最短1年2ヵ月)で平均初診年齢16.8歳、平均発症年齢15.1歳であった。これらの対象について、睡眠・覚醒リズムの重症度と社会適応度の2つについて、それぞれ基準を設定して治療開始前と現時点で比較したところ,いずれも改善の傾向が認められ,とくに後者は統計的にも有意差を認め明らかな改善が認められた。即ち、これら思春期の睡眠・覚醒リズム障害のうち,他に精神障害をもたないいわゆる中核群の予後は、比較的良いとの結論が得られた。現在成人における発症例についても予備的調査を行っており,いずれ比較検討を行う予定にしている。 これらの結果を呈示して、早期発見・早期治療の重要性を強調しつつ、当初の調査を進めているが、解析対象として充分な数が得られたところで検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ohta,Tatsuro: "Daily Activity and Persistent Sleep-Wake Schedule Disorders" Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry. 16. 529-537 (1992)
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[Publications] 太田 龍朗: "思春期の睡眠覚醒リズム障害" 思春期青年期精神医学. 2. 231-239 (1992)
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[Publications] 太田 龍朗: "不登校とリズム障害" 脳と精神の科学. 4. 93-99 (1993)
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[Publications] 太田 龍朗: "非24時間睡眠覚醒症候群" 臨床精神医学. 22. (1993)