1991 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん発作発現に関わる海馬神経回路の形態学と機能に関する研究
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03670569
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
森 則夫 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (00174376)
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Keywords | てんかん発作 / けいれん発作 / 海馬 / 苔状線維 / 発芽 / 顆粒細胞 |
Research Abstract |
最近、カイニン酸で誘発したけいれんや辺緑系キンドリングによるけいれんを経験したてんかんモデルの海馬において、苔状線維が著しい発芽を示していることが明らかにされた。その後、同様の所見がてんかん患者の脳においてもみいだされ、てんかん発作発現に関わる苔状線維の発芽のもつ機能的意義に関心が寄せられている。本研究では、dibutyry1‐cAMP(ab‐cAMP)を扁桃核に注入して誘発したてんかん重積モデルを用いて、(1)苔状線維の発芽の状況と、(2)苔状線維の起始細胞である顆粒細胞破壊の効果について検討した。 実験動物としてウィスタ-系雄性ラットを用いた。(1)苔状線維の発芽の状況を検討するため、db‐cAMPを左側扁桃核に注入してけいれん重積状態を誘発した。その後、Timm染色で苔状線維を可視化して発芽の状況を検索した。(2)顆粒細胞破壊の効果をみるため、コルヒチンを海馬に注入して両側または左側の顆粒細胞を破壊した。その後、左側扁桃核にdb‐cAMPを注入し、誘発された発作症状と脳波を観察した。 結果は次のようであった。(1)けいれん重積状態を経験したラットでは、両側の海馬歯状回のsupragranular layerに著明な苔状線維の発芽が認められた。(2)顆粒細胞を両側性に破壊すると、db‐cAMPの扁桃核注入による辺緑系発作の全般化が著明に遅延し、海馬の刺激症状であるwet‐dog shakeが完全に抑制された。しかし、このような効果は、注入側のみの顆粒細胞の破壊では不確実であった。また、Timm染色を行うと非破壊側歯状回に苔状線維の発芽が認められた。 以上のことから、辺緑系発作の全般化には、両側の顆粒細胞が関与しており、このことが、歯状回の苔状線維の発芽に重要であることが示唆される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Saito,H.,Mori,N.,Itagaki,S.,Kurokouchi,A.and Kumashiro,H.: "Morphological alteration in hippocampus ofter status epilepticus induced by intra‐amygdaloid injection of dikutyryl‐cAHP in rats" The Japanese Journol of Psychiatry and Neurslogy. (1992)