1991 Fiscal Year Annual Research Report
親脂化膜を用いた増殖型ハイブリッド人工肝臓の開発に関する研究
Project/Area Number |
03670576
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山本 哲 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50125415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 雅之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70226059)
葛西 眞一 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (40091566)
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Keywords | 人工肝臓 / 被包遊離肝細胞 / 親脂化膜 / 中空糸膜 / 脂溶性毒素 / グルクロン酸抱合 / ガラクトサミン肝障害 |
Research Abstract |
旭メデイカルより入手した疎水性のポリエチレン中空糸膜モジュ-ルとドイツのフレゼニウス社のポリプロピレン中空糸膜モジュ-ルの二種類の膜をパラフィンで加工し、脂溶性物質のみを透過するモジュ-ルを作成。脂溶性毒素としてフェノ-ルを用いて、夫々の膜モジュ-ルについて透過能を検討した。フェノ-ルの透過能に関しては両者の膜の性能に差異はなく、良好な透過能を示した。さらにポリエチレン膜モジュ-ルを組み込んだ体外循環装置を作成し、家兎を実験動物としてフェノ-ルを動物に与えて肝不全とした後、動物から肝不全誘発物質となったフェ-ノ-ルを除去することに成功した。ついでラット肝をコラ-ゲナ-ゼ潅流して得られた遊離肝細胞をアルギン酸カルシウムで被包化し、ガラクトサミンによる急性肝不全動物モデルにこの被包化遊離肝細胞を腹腔内投与、その肝機能補助効果を検討した。この実験モデルではラットは通常48時間以内に死亡するが、被包肝細胞を投与した群では全例生存し、遊離肝細胞のガラクトサミン肝障害に対する保護機能が認められた。 次に家兎を用いた体外循環の実験で、親脂化したポリエチレン膜モジュ-ルの外潅流の代謝槽に、被包化肝細胞を封入して、実験動物に与えたフェノ-ルの抽出とその解毒代謝産物であるグルクロン酸抱合体の生成を測定した。脂溶性毒素であるフェノ-ルは親脂化膜を素早く透過し、被包遊離肝細胞のグルクロニルトランスフェラ-ゼの作用により無害なグルクロン酸抱合体として代謝槽内に蓄積するのが認められた。 被包肝細胞の代わりに遊離肝細胞の球状集合体を代謝槽に封入した実験では、球状体の破壊が著しくグルクロン酸抱合体の生成測定を困難にし、代謝のリアクタ-としてアルギン酸被包化遊離肝細胞の方が有利であることがわかった。
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