1992 Fiscal Year Annual Research Report
親脂化膜を用いた増殖型ハイブリッド人工肝臓の開発に関する研究
Project/Area Number |
03670576
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山本 哲 旭川医科大学, 医学部, 講師 (50125415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤 雅之 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70226059)
葛西 眞一 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (40091566)
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Keywords | 人工肝臓 / 被包遊離肝細胞 / 親脂化膜 / 中空糸膜 / 脂溶性毒素 / 肝ミクロソーム / ディメチルサルファイド |
Research Abstract |
脂溶性毒素としてフェノールより、より脂溶性の強いDimethylsulfide(DMS)を用いて、親脂化中空糸膜の透過実験および、肝ミクロソームを用いた酵素反応によるその解毒代謝装置を検討した。DMSは親脂化膜の脂肪層への移行が速く、フェノールに比べわずか30分ほどの短時間で平衡状態に達した。またDMSは肝不全時に生体内で発生するメルカプタンの誘導体で、やはり強い脳症誘発作用を持っていることが知られているが、その代謝機構が肝臓のミクロソームにあり、家兎肝からこのミクロソームを精製し親脂化膜を利用した循環装置にこのミクロソームを組み入れDMSの代謝解毒装置を検討した。DMSはミクロソームの代謝酵素によって酸化(水酸化)され、水溶性のDimethylsulfoxide(DMSO)となる。このため代謝産物は親脂化膜を再通過することができず親脂化膜をはさんで物質移動が一方向のみとなり、効率的な解毒が達成された。肝ミクロソームは多くの脂溶性毒素に対応した酵素群を持っており、Sub-cellularで解毒代謝装置を構成する際には、保存、効率とも肝細胞自身の利用に比べて有利であると思われた。 遊離肝細胞の利用法としてはアルギン酸膜で被包したものを用いたが、これらを各種の増殖促進因子とともに包埋してその増殖および機能を検討したがいずれも効果が認められなかった。被包肝細胞はアルギン酸膜を介して物質交換を行なっていることを考えると、これらの増殖因子も流動性があるため膜外に拡散してしまうと考えられた。 代謝のリアクターに増殖性を持たせるには、増殖因子をアルギン酸膜内に入れる方法は困難であり、還流液全体にある一定の濃度の増殖因子を添加する事が必要と推定されたが、これはコストや機能の問題を考えると、結論的には被包肝細胞自身を交換するほうが有利と考えられた。
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[Publications] S.Kasai: "Beneficial Effect of Hepatocyte Transplantation on Hepatic Failure in Rats" Transplantation Proceedings. 24. 2990-2992 (1992)
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[Publications] S.Kasai: "Cellulose Microcarrier for High-Density Culture of Hepatocytes" Transplantation Proceedings. 24. 2933-2934 (1992)
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[Publications] 山本 哲: "人工肝臓-この1年の進歩" 人工臓器. 21. 1416-1417 (1992)