1991 Fiscal Year Annual Research Report
ケトン体輸液は肝再生を促進するか ー広範囲肝切除および無肝期におけるケトン体投与の意義についてー
Project/Area Number |
03670609
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
吉田 奎介 新潟大学, 医学部, 助教授 (90018680)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 良夫 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (50216173)
塚田 一博 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90171967)
|
Keywords | 大量肝切除 / 術後代謝変動 / 肝再生 / ケトン体 / モノアセトアセチン / 短鎖脂肪酸 |
Research Abstract |
臨床上、術後の管理が重要である大量肝切除後の代謝変動を肝再生を指標とし、ブドウ糖およびケトン体を添加した輸液のラットを用いて研究した。本年度施行した研究はケタラ-ル麻酔下に雄性ラットに70%肝切除を行い、術直後より等張または高濃度ブドウ糖輸液を投与した2群とブドウ糖およびケトン体を添加した輸液を投与した群に分けて検討した。肝再生の指標として再生肝重量、肝重量/体重比、肝細胞のmitotic indexおよびS期の肝細胞核を染色するBrDU抗体を用いたlabeling indexを用いて評価した。全身的な影響を体重の増加および血液生化学検査(トランスアミナ-ゼ、ビリルビン、血漿蛋白、尿素窒素、クレアチニン)にて評価した。 術後早期の肝再生の指標を検討すると、低濃度ブドウ糖投与群とケトン体添加群は高張ブドウ糖投与群と比較し良好であった。高張ブドウ糖投与は肝再生を抑制する傾向が認められた。一方その後の経過における体重増加率あるいは肝重量/体重比の増加率を検討すると、等張ブドウ糖投与群ではその増加が不良であり投与総カロリ-量の不足が考えられた。高張ブドウ糖投与群およびケトン体添加群では肝重量/体重比、体重増加率は良好であった。一般的な血液生化学検査においてはケトン体投与による著しい変動は認められなかった。大量肝切除後の術後管理では時期に応じた基質投与の変更を必要があり、これまで示唆されてきたような高カロリ-輸液は肝細胞の再生に悪影響を及ぼす可能性が明かとなった。しかしながら等張ブドウ糖輸液のみでは生体の必要とするエネルギ-量としては不十分であり新しい輸液組成を今後とも検討する必要があると考えられた。平成4年度はケトン体輸液の肝切除後早期に及ぼす影響を高エネルギ-燐酸化合物濃度の変動から検討する予定である。
|