1992 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用を目的とした水酸アパタイト細粒を用いた徐放性抗癌剤の検討;特に局所療法を目的とした徐放性Carboplatinの基礎的検討
Project/Area Number |
03670636
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
水野 勇 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (20157506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
四ツ柳 智久 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (40080189)
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Keywords | 水酸アパタイト / Carboplatin / 腹腔内投与 / drug carrier |
Research Abstract |
drug carrierとして検討している水酸アパタイト(HAp)細粒について、基礎的にはHAp細粒の形状を光学的顕微鏡に続いて電子顕微鏡にて観察する一方、レーザー回折法にて粒度分布を測定した。その粒度分布は23〜59μmの間に73.6%が分布し、その平均粒子径は36.1μmであり、電顕的には微粒子が凝集した表面凹凸不整の多い球状物質としてみられた。このHAp細粒の腹腔内投与後の組織学的変化を経日的に検討した結果、投与3日後の顕鏡ではHAp細粒はfibroblastに取り囲まれて僅かに炎症細胞浸潤を認め、7日後でもfibroblastを認めるが炎症細胞浸潤は軽度となり、新生血管の増生が認められた。さらに28日後では炎症細胞浸潤は殆ど消失し腹膜の癒着等の所見は全く認められなかった。またHAp細粒の腹腔内投与の安全性を確認するためにHAp細粒200mg、生理的食塩水0.5ml(control群)をドンリュウラット腹腔内に投与後、経日的に腹部大動脈から採血し、ヘモグロビン濃度、赤血球数の変化、白血球数の変化、血小板数の変化等について調べたがcontrol群に比べ有意の変化は認めなかった。またその他のAlb,TB,BUN,Cre,Na,K,Cl,Ca等の血液生化学的検査においても同様にcontrol群に比べ有意の差は認めなかった。 徐放性Carboplationのラットを用いた基礎的検討を行うため、腹腔内投与を目的として種々検討し作製されたHAp-Carboplatin(HAp-CBDCA)には1バイアルにHAp細粒:200mg,CBDCA:4mg,マニトール:20mgを含有するようにした。エーテル麻酔下に200gの雄ドンリュウラットを用いてこのHAp-CBDCA:1バイアルを腹腔内投与するように計算し、投与後15,30分,1,3,6,24時間,7日に腹部大動脈から採血し、血清を原子吸光光度計にてプラチナ濃度を測定し、free-CBDCAの腹腔内投与と比較検討している。その結果HAp-CBDCA投与により腹腔内に高濃度長時間に亘りCBDCAが留まり、体内動態と肝機能障害等についても同時に検討している。
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