1991 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変時脾臓摘出術が肝機能および免疫能に及ぼす影響に関する実験的検討
Project/Area Number |
03670637
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
橋本 俊 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (10094393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 守嗣 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10227184)
花井 拓美 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (60164878)
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Keywords | 脾摘 / 肝血流 / 肝障害 / 免疫 / 動物実験 |
Research Abstract |
肝硬変時脾臓摘出術が肝機能および免疫能に及ぼす影響に関する実験的検討 肝硬変症患者において、肝硬変の進行による脾機能亢進症および門脈圧亢進症の進行は、現在も問題となっている事項の1つである。この療法として保存的な治療法である内視鏡的硬化療法およびジ分的脾塞栓術または手術療法であるハッサブ手術が代表的なものであるが、いずれもそれぞれの施設により選択基準がまちまちであるのが現状であり、脾臓摘出術が肝機能におよぼす影響にも定説がない。しかし、脾臓摘出術術後には重症感染症の頻度が高く、特に幼小児期における脾臓摘出術術後においては免疫能の低下に伴い、さらにその頻度が高いため、現在我々は保存的療法を第1選択としているが、脾臓摘出術が必要になる場合もある。また、肝硬変時の脾臓摘出術は脾静脈血流を閉ざし、この血流が肝の再生に関与している可能性も考えられ、障害の存在する全身網内系機能をより低下させると考えられる。 【目的】肝硬変時脾摘術の是非について肝に与える影響より検討した。 【方法】生後4週のドンリュウラットを用い、ジメチルニトロサミンを経口投与して肝硬変を作成し、肝硬変と脾摘の有無別に肝臓に与える影響の程度を肝酵素及びALF21を用いて肝表面血流を測定し検討した。 【結果】肝酵素はしだいに正常下し、各群間の差を認めなくなった。肝表面血流は脾摘群では術後4週にて肝硬変の有無に拘らず有意に減少し、脾摘をしない群では肝硬変群でやや減少したが有意な差は認めなかった。 【考察】脾摘術がもたらす影響は酵素には表われなかったが、肝表面血流の減少を来し、肝障害時においてはさらに悪影響を及ぼすと考えられた。
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