1991 Fiscal Year Annual Research Report
摘出再潅流肺傷害の発生機序ー摘出肺保存と内皮細胞障害
Project/Area Number |
03670652
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷田 達男 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (20217144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 勉 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (90215674)
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Keywords | 肺微小血管 / 血管内皮細胞 / 再潅流肺障害 / 血管透過性 / 濾過変数 |
Research Abstract |
SDラットを用いた実験モデルの作成。SDラットを麻酔下に気管切開したのち頸動脈のカテ-テルを挿入し、へパリン化後脱血屠殺して開胸した。肺動脈主幹、左心房にカテ-テルを挿入し、心肺を同時に摘出する。これらのカテ-テルを各々動脈及び静脈用レザボアに接続し6%アルブミンを還流液として用い肺動脈圧>肺静脈圧>気道内圧の条件(zone3)下に肺重量が変化しない状態に保つ。ここでレザボアを3cmづつ上昇させた時の肺重量変化を解析することによって、初期濾過率をもとめた。還流液を約2倍に希釈した後同様に初期濾過率を求め濾過係数、微小血管周囲圧、反発係数を計算した。これらは、還流されているラット肺では求められていなかった。従来は還流を停止した所謂zone1の状態での肺で計算されていたものである。 さらに、再灌流肺における肺微小血管透過性亢進の機序についての研究では、再灌流による白血球の活性化が関与していることを確認した。摘出肺で、血管内を生理食塩水にて洗い流した群と全く洗い流さずに30分間血流を停止した後に再還流をした群とで肺微小血管透過性を測定すると、血管内を生理食塩水にて洗い流さない群では洗い流した群の約2倍の血管透過性を示した。これは白血球が再灌流によって活性化したものと考えられ、現在白血球のMPO(myelo peroxydase)の活性および活性酸素の産性能について測定を開始した。また、血管内を生理食塩水にて洗い流した群に対し、白血球を分離し、振盪することによって活性化させ、血管内に投与し、血流を停止させた後に肺微小血管透過性を測定した場合約1.5倍に増加していた。以上から白血球の活性化および血流の停止が肺微小血管透過性を亢進せしめることがわかった。
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[Publications] T.Tanita: "Pulmonary Resident White Blood Cells Activation Increases Filtration Coefficient in Reperfused Rat Lungs" American Review of Respiratory Disease. 143. A580 (1991)
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[Publications] 谷田 達男: "血流停止による白血球粘着と再潅流性肺水腫" 日本胸部外科学会誌. 39. 1546 (1991)
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[Publications] 谷田 達男: "再潅流性肺水腫における白血球粘着の関与" 日本臨床生理学会雑誌. 21. 100 (1991)
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[Publications] 谷田 達男: "等重量法を用いたzone3での摘出ラット肺の濾過変数の測定" 脈管学.
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[Publications] T.Tanita: "Increase in Pulmonary Vascular Permeability in Reperfused Rat Lungs after Hemostasis." HighーAltitude Medical Science.