1991 Fiscal Year Annual Research Report
動脈閉塞の血行再建に伴う血中・尿中ミオグロビンの推移
Project/Area Number |
03670660
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
釘宮 敏定 長崎大学, 医学部, 教授 (30039820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 秀人 長崎大学, 医学部, 助手 (80200583)
高木 正剛 長崎大学, 医学部, 助教授 (30136642)
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Keywords | myonephropathicーmetabolic syndrome(MNMS) / 高ミオグロビン血症 / ミオグロビン尿 / 急性動脈閉塞 / 血行再建術 / 急性腎不全 / 再貝流障害 |
Research Abstract |
急性動脈閉塞症の重篤な合併症であるMyonephropathicーmetabolic syndrome,MNMS)の本態は不明であるが,血行再建後の再潅流に伴う高ミオグロビン血症が関与していると推測される。本研究の目的は,臨床の血管手術症術において,下肢血流の一時的な遮断に伴う再潅流時の血中および尿中ミオグロビン(Mb)の推移をみることにある。 現在までに腹部大動脈瘤3例,腹部大動脈閉塞症(レリッシュ症候群)1例を対象として,血流遮断前,遮断解除後1時間,術後1日,術後2日の血中および尿中Mbを測定した。腹部大動脈瘤の3例中2例は90分ないし150分の遮断で,遮断解除後に血中・尿中Mbの上昇を認めるが,その程度は血中Mbで遮断前の7〜10mg/dlから27〜80mg/glへと軽度上昇にとどまり,術翌日にはいずれも正常範囲に戻った。また腹部大動脈閉塞症の1例は110分の遮断で,遮断解除後のMbは正常域にとどまった。また腹部大動脈瘤の他の1例で,術中に鎖骨下動脈から大腿動脈に一時バイパスを作成し,大動脈遮断中に下肢に少量の血流を流し続けたところ,この例では遮断解除後の血中Mbの上昇は認められなかった。 以上まだ少数例の検討で,結論までには至らないが,MNMS発症時の上昇に比べればはるかに軽度であるにせよ,腹部大動脈の一時的な血流遮断に伴う血中・尿中Mbの一過性上昇が認められ,MNMSの病態生理とも共通する何らかの機序が働いていることが推測された。一方,慢性閉塞性では,おそらく副血行路の発達によるものと思われるが,短時間の大動脈血流遮断では血中Mbの有無の上昇が認められなかった。またこの間,たとえ小流量であっても,下肢に血流を供給すれば,遮断解除時の高Mb血症発生を防止できることが判明した。今後さらに症例を重ねMNMSの本態との関連性について検討したい。
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Research Products
(1 results)